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(9)アルル~マルセイユ [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/30(水)

アルル最後の日はやはりサン・トロフィームの回廊へ再び行きました。柱頭彫刻の細かな作業に心惹かれます。特にある一本の柱頭には受胎告知から降誕、産婆さんによるキリストのもく浴、おまけに隣の柱の陰になって見えない部分にまで彫られた聖ヨセフには驚きました(写真は初回訪れたときにアップ済)。信仰篤いとはいえ、自分の仕事に誇り持ち、愛情を注いだであろうその人の手技を目の前に、800年の時を経て身近に感じる不思議さに時がとまるとはこのこと。

↓お別れの前に教会の写真を撮り

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出発の時間が来てあわててホテルに戻り、チェックアウト。昼ごろの列車でマルセーユへ。TGVが開通したマルセイユは駅の大改装中。夏のヴァカンス客でごった返す構内で救急隊員が熱中症?、倒れた若者を介抱していました。近くを通りかかりましたが、意識はもうろうとした感じでした。若いだけに油断もあったでしょうが、人通りの多い駅で見つかって助かったのではないかしら?

 

 日本から到着した夜に泊まった旧港のホテルに8日ぶりに舞い戻りチェックイン、預けてあったトランクを引き取り部屋へ。窓からの港と丘の上の教会の眺めが素晴らしく、娘と眺めていますと、10年前に亡くなった義父が20代はじめに農業機械の勉強のためにロンドンに渡航、マルセ−ユにも寄港していました。これと同じ風景を見たかも知れないという想いがこみあげてきました。

幸い、ホテルの前から丘の上のノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂までプチ・トランが登っているというのでさっそく乗り込みました。チケットを買おうとすると「ノッテ、ノッテ、ノッテレバ」と日本語の上手な運転手のおじさん。急勾配の坂道を登ってマルセーユのランドマーク、大きな聖母子像の立つバジリカへ。ここで皆降りて見学し、30分後の次ぎのプチ・トランで帰るシステムになっています。ここも要塞をかねていたとみえ、跳ね橋があり、物々しい雰囲気があります。

 

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☆ノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂Basilique  Notre-Dame de la Garde

 

下のクリプトと上の聖堂の二層式。ロマネスク・ビザンティン様式の壮麗な内部。内陣に比較的新しい船の図柄のモザイク、飾り物、絵画にも港町らしい航海にまつわるものは船旅の安全を願って奉納したものでしょう。「おじいちゃんもきっとここへ来てお参りしたにちがいないわ」と無口で優しかった義父を思い出しました。ひと休みしようと椅子に腰掛けようとしたとき、「どちらから?」と日本人のシスターが声をかけてきました。「札幌です」というと一瞬声をのんだように見えました。札幌出身の方だったのです。天使女子大を出られた保健婦さんの資格をもつシスターでした。札幌、神戸、モロッコそして今はこの聖堂の隣接する修道院に居られるとのことでした。プライベートなことはほとんどおっしゃらず、この聖堂は船の安全ばかりでなく、人生の荒波にもまれる人々を守ってくださるということなど説明してくださいました。娘もクリスチャンの青年と結婚して、来春からアメリカで暮らすことになります。近じか、洗礼を受けることにも決まっていました。とても熱心にこのかたのお話に耳を傾けていました。神戸の病院は海星病院というので、次女のフィアンセの母上が系列の女学院出身なので、いろいろな偶然に驚きました。

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Google earthから拝借したノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂の全景(海抜154m)

 

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外へ出ると地中海のきらめくような地中海の青が目に入り素晴らしい眺めです。眩しくもあり、遠く暮らすことになる娘とのふたり旅も終わりに近く、その感慨も迫ってきて、泪がじわ~と、慌ててサン  グラス。プチ・トランにも乗り遅れたので、急な坂を降りてサン・ヴィクトール修道院を目指しました。

 

 ☆サン・ヴィクトール修道院Abbaye St-Victor

 ここは4世紀からと古い歴史を持ち、地下のクリプトも今までになく広大です。外観はここも港の要塞を兼ねるのでしょう。強固な城塞のようにも見える厳めしさ。ロマネスクらしい楚々とした魅力にははずれますが、内部は静寂、神聖な雰囲気にあふれていて、内陣の簡素な佇まい、その外観との落差も強く印象に残りました。クリプトは有料。聖人たちの墓が並べられています。布教のためにマルセイユから異国に出発して、そして命を捧げてお骨になって戻ってきたのです。

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↓プラン

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 既に陽が暮れようとしていますが、まだ西からの日差しが照り付け暑ーい!ホテルの反対側の旧港の近くまで来ましたが、ダウン寸前。カフェをようやく見つけて一息入れました。ここはインターネット・カフェでしたので、札幌にメールしました。札幌は冷夏で昨夜はキムチ鍋にしたとの長女の返信に眼が点!でした。2003年当時は携帯電話を持って歩いてなかった頃で、あちこちのネット・カフェを利用して、なんと便利な!と思っていたものでした。

 夕食は豪華に某有名レストランにて本場のブイヤベース。もちろん全部は食べきれないほどの量があります。お隣のおじいさまはひとりで来て、2人前からのこのブイヤベースを頼みました。結構食べ切って、ワインもボトルでぐいぐいあけてました。好きなだけ食べて飲んで、ある日突然のお迎え・・・なら良いのですが(汗)

ヨットやボートの停泊する旧港付近は夕涼みのお散歩の人たちで夜中まで賑やか。2003年夏のプロヴァンスの旅はこうして終わりました。明日から私はザルツブルク、娘はロスアンゼルスと別行動になります。


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(8)アルル(レ・サント・マリー・ド・ラ・メール) [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/29(火)


  今日は午前中はエスパス・ヴァン・ゴッホとアルラタン博物館の見学。午後からはレ・サント・マリー・ド・ラ・メールへ行ってきました。

ゴッホといえばアルルに滞在していた1888年2月から1889年5月までに描いた傑作が目に浮かびますが、アルルでは一枚も本物を観ることはできません。100点以上も描いたというのに物足りない思いがしました。


↓昨日ランチで立ち寄ったカフェがモデルの「夜のカフェテラス」(クレーラー・ミューラー美術館/オランダ、オッテルロー)


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↓「アルルのゴッホの家(黄色い家)」(ファン・ゴッホ美術館/アムステルダム)


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↓「アルルのゴッホの部屋」(ファン・ゴッホ美術館/アムステルダム)


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エスパス・ヴァン・ゴッホはゴッホが耳切り事件を起こした後に収容された病院で、現在は再現された中庭や資料館が残っています。


↓エスパス・ヴァン・ゴッホにて


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前年スイスの美術館で「アルル施療院の庭」を観ていましたので、「あの庭だわ~!」と感動(笑)


 アルラタン博物館はバスターミナルからも近いので寄ってみました。女性の係員が民族衣装姿でしたので、カメラを向けましたが…撮影禁止でした。アルルの女=美人がこの伝統のドレスを着ることでますます美しく見えますが、現実は暑い日でしたし、仕事で仕方なく着てるのよの気分満載で苦笑。

アルラタン博物館はノーベル賞受賞の詩人フレデリック・ミストラルが賞金を基に作った博物館です。ミストラルの郷土愛が詰まっています。ミストラルがプロヴァンス語(オック語の一方言)で作品を書いたことで、その保護のための展示などもありました。邦訳で出版された『プロヴァンスの少女ミレイユ』がグノーのオペラ『ミレイユ』の原作だったとはこの時気が付きませんでした。


 さて時間になり12時30分発のバスで出発。何人かのツーリストのほかは地元の 海水浴の家族なども乗って、海辺の町へ50分ほど走りました。途中にはカマルグの白い馬が放牧され、乗馬学校も併設したホテルや民宿などさまざまなタイプの宿泊施設が並んでいます。

娘は高校生のとき、乗馬教室に通ったくらいなので、ここにも泊まりたかったと羨ましげ。カマルグの沼をぬって、乗馬をのんびり楽しむ人々を眺めているうちに教会の鐘楼が見えてきました。

 教会の見学前に腹ごしらえ・・・昼食は教会近くの魚介専門レストランで、大きなプレートに山盛りの牡蠣、ムール貝、海老などの盛り合わせを頼みました。今朝捕ったばかりと自慢げなおかみさん、真夏でしかも猛暑、最初は恐る恐るでしたががナント!!新鮮で美味しいこと。ブルターニュにも負けていません。レモンをたっぷり絞って…..キリリと冷えた白ワインも欠かせません。

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☆レ・サント・マリー・ド・ラ・メール教会Eglise les saintes Maries de la Mer

 さて伝説に彩られた教会の見学です。外観は要塞のようなそっけなさですが、海岸にある立地条件から、外敵や海賊から町の人たちを守る役目もあったのでしょう。単廊式の内部が暗いのは襲撃にも耐えるように窓がとても小さいから。暗いので写真は撮れませんでした。

キリストの死後ここに流れ着いたマグダラのマリアらの3人のマリア達の遺品や彼女たちの召し使いサラの像もクリプトに祀られています。サラが黒人だったということで、とりわけジプシーの巡礼者たちの信仰が篤いとのこと。他の南仏の港町には見られないちょっとエキゾチックな、流浪の雰囲気ともいえる感じ。海の聖母マリア達と名付けられたこの町は以後何世紀にもわたって巡礼地として人々を受け入れてきました。最近見かけないジプシーの煙草売りのおばさんも何人かたむろしていました。

外観はロマネスクの教会としては?でしたが↓プラン

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教会の階段を登って屋根にも上ってみましたたが、午後の強烈な陽射しにさきほどのワインがまわって、クラクラ状態でしたが、ここから見る地中海のまばゆい青、カマルグ湿地帯の眺めは素晴らしい。

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↓絵葉書ですが、カマルグからのサント・マリー・ド・ラ・メールの眺め

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↓ バス停近くから

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帰りのバスまで時間もあるので、土産物やの並ぶ細い道を歩き、ビーチにも行ってみました。

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ここは南仏のニースなどコートダジュールのビーチとは大違いで、フランスらしい洒落たところは少しもなく庶民的。周辺のカマルグの景観も含め、乗馬にビーチ、海の幸とのんびり安く過ごせそうです。そのせいか5時過ぎの帰りのバスは英語圏からの若者の観光客も多数乗っていました。

 夕食は8時過ぎに、また昨日のレストランへ。テラス席で食事していたのですが、そのうち暗くなり、蚊に刺されてしまいました。教訓:明るいうちに食事は済ませること。

アルル3泊の滞在もまたたく間に終わりました。明日はマルセイユに戻ります。


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(7)アルル(モンマジュールとサン・ジル) [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/28(月)


 亀のいる小さな噴水のある中庭で朝食。このホテルは3☆の割りにブッフェの朝食も品数が揃い、美味しくいただきました。また従業員の態度も礼儀正しく好ましいです。

朝晩は涼しいけれど、こちらに来てからずーっと30度を超える日が続いています。道産子の母娘ですが、無理せずに歩きました。

  10時にタクシーを呼んでもらってサン・ジルとモンマジュールの見学に行きました。サン・ジルは厳密にいえばプロヴァンス地方にははいらないそうですが、アルルからも比較的近く(7K)、訪れやすいところです。20分程でサン・ジルの街に到着。坂を少し登った広場に面して、何度も写真で見た有名なファサードを持つ サン・ジル・デュ・ガール教会が堂々と建っています。サンチャゴへの巡礼の道に沿っているので、周辺も門前町のような雰囲気をとどめています。最近は洗浄したところが多いのですがここは黒っぽい、古びた感じのままに残っていました。

 サン・ジル・デュ・ガール教会  Abbatiale St-Gilles du Gard 

 

 7世紀後半の聖ジルの奇跡伝説によって信仰を集め、11~12世紀には南フランスきっての重要な巡礼地になりました。16世紀の宗教戦争で破壊されましたが、ファサードの彫刻と内陣の遺構は幸いにも残り、中世ロマネスク芸術を今に伝えています。

 

↓朝だったので、ファサードの写真は酷い・・・。

 

 

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↓斜めから撮ったら少しマシになりました

 

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正面扉口左のカインとアベルの物語、二人が差し出す貢ぎ物に神の手がアベルの羊に伸びている。単純な構成のなかに旧約の神の理不尽さが伝わってくる。と同時に試される側の人間の生き方にも想いを寄せずにはいられない。ここに来た中世の巡礼者はどのような気持ちでこれを見たのでしょう。

 

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↓中央扉口ラントゥに彫られた「最後の晩餐」左の「弟子の足を洗うキリスト」

 

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12世紀の南フランスはカタリ派の台頭という混乱のさなかにありました。それ故にここサン・ジルの壮麗な彫刻群のファサードの前に立つと、異端に対抗し厳しくカソリックの牙城にならんとした意気込みを感じずにはいられません。アルルの古代ローマの石棺彫刻を手本にキリスト教の精神性を見事に表現してみせた職人の技に感服です。アルルのサン・トロフィーム教会に似た多彩な構成も興味深いものでした。

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さて次の訪問地モンマジュールはアルルから10分くらい。途中ゴッホが残したデッサンにもある「モンマジュールの眺め」の農道を走り、満開のひまわり畑で写真ストップ。

 

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☆モンマジュール修道院 L'Abbatiale de Montmajour

遠くから眺めるとお城の廃虚にもみえる大きな修道院。ここは古代が発祥という墓地から初期キリスト教、中世と発展し隆盛を極めた修道院だそうです。地形的な変化もあり現在は丘の上に建ち、灌木や岩に囲まれた寂れたところです。

 

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階段の脇の入り口から入場料を払って入ります。チケット売場のキュートな若い女性が気をきかせて娘に「学生割り引きがある」といってくれました。娘が正直にかつ嬉し気に27才なのというと「ごめんなさい」と謝るのですが、それがまた可愛いひとでした。そう言えばフランスの女性は年より若く観られるのは喜ばないのでした?

狭い通路を抜け今は修道僧の姿もない教会、クリプト、回廊と見学。広いだけに、祈りの場として使われていない建物にはそこはかとない寂寥感、無常感がただよっていました。見学者も数えるほどで、独りで来たら怖かったでしょう。

↓彫刻も怖い

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↓回廊にて

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ここは昔の沼地に立っているので教会の回りも葦のような雑草が生い茂っています。サンダルで、そこを歩くのはマズイと思って、少し離れて建つサン・クロワ礼拝堂や墓所の見学はパスしました。それは正解だったようです。この後、秋に訪れた友人は蚊に刺され大変だったとか。

全体の構えが日常的な祈りの場としてよりも古代神殿の影響の強い葬送斎場のようなのが、この地方のロマネスクの一面を表わしているように思いました。

↓全景はGoogle Earthから

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Zodiaque/la nuit des temps『Provence ROMANE 1』の表紙もMontmajour

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 アルルには12時半に戻り、ゴッホの「夜のカフェ.テラス」で有名なカフェ・ヴァン・ゴッホでランチ。黄色い壁がいかにもプロヴァンスらしく、夏の陽射しを受け華やか、ますます観光客を惹き付けます。ただし料金は高めです。

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 午後からはひと休みののち、ここのハイライトであるサン・トロフィーム教会の再見学。ファサードは先ほど見たサン・ジルより小さいのですが、彫刻の満載感が強いです。ここはホテルにも近いので何度も通りすがりに見ることが出来たのでラッキーでした。「最後の審判」をはじめひとつひとつの彫刻も見飽きることがありません。

 回廊の柱頭彫刻もひとつずつ解説を見ながら辿ったのですが、残念なことに補修のためでしょう、ところどころに絆創膏のようなテープが貼られていてとても見ずらいのです。半分はゴシックとはいえこれだけのロマネスクの柱頭彫刻がほぼ完全に残っていて、部分によってはよじ登って目の高さで鑑賞ができるのが嬉しいことでした。回廊だけで1時間半ずつ2日間通いました。

↓左「受胎告知」、右「ご訪問」

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↓「降誕」

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↓上の「降誕」の裏側、聖ヨゼフ(顔が半分隠れていますが)。

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  夕食はホテル近く裏通りのレストランで。ここは大当たり!!20ユーロのムニュで前菜、メイン、デザートとそれぞれ10種類くらいから選べます。2日通いましたがどれも美味しかったです。それにとても可愛い、気取りやさんのメス猫がいます。普通は呼んでも来ませんが、観察していると若い男性のとこへは行くのです。でも私が舌平目のグリルをとったのでやってきました。(笑)

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帰るころ日本の雑誌関係らしいお仕事モードのグループが入ってきました。この通りは3軒のレストランが並んでいてどこも繁盛していました。

 

 


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(6)エクサンプロヴァンス~アルル [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/27(日)エクサンプロヴァンスBT14:10→アルルBT15:30


アルル/Hotel D'Arlatan 3泊


 今朝は少し涼しい風が吹いて、しのぎやすいです。午前中はコインランドリーでお洗濯して、荷物の整理。ランチはホテル近くの日本料理屋さんへ。日本人の女将さんが気配りも上手に接客。中止になった音楽祭の話をしましたが、彼女は舞台裏で働く人たちの味方をしていましたが、音楽祭でお客さんが来ないと経営も大変だろうなと察しました。お寿司はとても美味しくてかなりなレベルです。マルセイユに水揚げしたお魚を使っているそうで、納得でした。(追記:この和食屋さんを2012再訪しましたが、移転したようです)


 さて、エクスのバスターミナルから2時ごろのバスでアルルへ。1時間20分ほどでアルルに到着。少し上り坂になる旧市街の道を歩いて、予約していたホテル・ダルラタンへ。

ホテルは街の中心のフォーラム広場に近く、それなのに静かな環境と願ってもない立地。ロビーの床は一部ガラス張りになっていてローマ時代の遺跡を見ることができます。私達の部屋は一番奥のプールのある裏庭に面した建物で比較的新しい広い部屋。エアコンも程よく効いているて、ここで3泊できると思っただけでシアワセ。


↓ホテル別館


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↓ホテルのプール


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↓ホテルの中庭。手前の噴水に亀さん


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 アルル市内の見学はバスターミナルに近い(i)の前からプチトランに乗って巡りました。円形闘牛場で降りて見学。


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↓最上階に昇ってアルルの景観を楽しみました。アルルのオレンジ色の瓦屋根が連なり、ローヌ川の流れも。


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☆サン・トロフィーム教会Eglise St-Trophime

ローマ時代に発展した古代からの都市アルルにはプロヴァンス地方で最も美しいロマネスク様式の教会があります。元は5世紀の創建ですが、現在の教会は12世紀前半に建てられたものです。西正面の古代風な浮彫も多彩で、回廊の柱頭彫刻の美しさも屈指と言われています。


私にとってはアルルで最大の見どころなので、近くに宿をとりました。すでに夕方近くですがまだまだ陽は高く、西日が強烈にサン・トロフィームのファサードを照らしていました。


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Hercule et les Cercopes ギリシャ神話から「ヘラクレスと二人のケルコプス」


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↓ローマ的なリアリスティックな表現の彫刻が多いのも特徴です。旧約から「獅子の穴のダニエル」


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旧約から「ライオンにまたがるサムソン」


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↓同じく旧約から「サムソンとデリラ」


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↓「天国と義人の魂」左の天使が族長たちに差し出すのは子供に象徴される義人の魂だそうです。


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内部はロマネスク期後、14世紀から19世紀までに渡って改築、増築されています。回廊は翌日見学することにしてホテルに戻りました。


 夕食はフォーラム広場のレストランで。ズバリ観光客向けのお店ですが、前菜にメロンと生ハム、メインは羊肉のグリルをいただきました。味は普通ですがお高い。すぐ近くにヴァン・ゴッホの「夜のカフェテラス」のモデルになったカフェがあります。










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(5)エクサンプロヴァンス(リュベロン一日ツアー) [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/26(土)


今日はエクスに着いてすぐに予約しておいたバスツアーに参加しました。(i)の横から15人乗りのミニバスで9時に出発。朝市目当ての地元の老婦人たちのほかは日本人の観光客が半分も!

 

まず、アプトの土曜朝市へ。荷物になるからと警戒していたのですが、可愛い蝉のついた匂い袋などは軽いので購入。アイスティを飲みながら休憩し、先程のガイドの案内にあったカテドラル聖アンナを見に行くことにしました。ところが、道を間違え集合時間まで間に合うかと心配になり、道行く地元のおじさまに尋ねると結構遠いとのことでしかも坂道、暑いし諦めました。このかたは英語が話せ、「義理の娘は日本人なんだ」と私たちと話せるのが嬉しそうなのです。少し立ち話をしてバスに戻りました。この時は11時半ころ、気温計は37度の表示でした。


↓近郊からも集まってくるアプトの朝市は大人気


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 次ぎはルションへ。顔料のオークルの名産地でもあり、街の建物も土壁に微妙に異なる色合いのオークルに塗られている美しい街です。丘のうえの街なので展望もまた素晴らしい。

ツアーといってもバスが着くと、集合時間を告げてすぐにフリータイムになります。


↓ ルシヨンの散策


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↓ルシヨンの街の眺望


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ランチはガイドさんおすすめの見晴らしの良いテラス・レストランで。前菜がメロン半分のくりぬいたなかにポート.ワイン?、メインは羊のグリル、安くて美味でした。

↓レストラン


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 ルシヨンからは30分ほど、峠越えをしてセナンクに向かいました。道は狭く乗用車がすれ違うのがやっと。大型のバスは走れないので、マイクロバスなのです。峠から見下ろすと谷間にひっそりと建つセナンク修道院が見えました。


↓Google Earthから拝借


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↓セナンク修道院。通常はまだラベンダーの観られる時期ですが・・・多分この暑さで終わったのでしょう。残念!


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☆セナンク修道院Abbaye de Sénanque


 「プロヴァンスの三姉妹」として名高いシトー派の修道院は緑に囲まれた谷間に建っています。7月のラベンダーの季節にはその美しい花畑を背景に建つロマネスク様式の教会は特に印象深いものです。1148年の創建ですが、現在も創建当時の面影を留めています。


↓プラン


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駐車場からは一般の見学者は右の建物から入ります。ここは一度途絶えていた修道院としての機能が1989年から復活している関係もあって、ル・トロネやシルヴァカーヌとは違った緊張感のようなものを感じました。教会の正面入り口も両脇の小さい扉だけ、修道士と巡礼者のみが出入りする閉ざされた空間をより強めるかたちになっています。また修道士の寝室も各人の布団?ごとに厳密にひかれた線が残っています。

後陣の外にはここで亡くなった修道士たちの墓標が並んでいます。多分木製でしょう、しかも手製と思われる簡素な十字架です。装飾は極力省きながらも、回廊の柱頭に見えるアカンサスの葉が彫る人の個性を主張していて様々で、いじらしい感じでした。

↓回廊にて

 

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最後はブックショップへ。ここはロマネスク関連の本がとても充実しています。ゾディアック叢書も新品がずらり並んでいます。集合時間も迫り、そのうち一冊だけ急いで購入しました。

↓「L'ART CISTERCIEN / FRANCE」

 

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4年前のシルヴァカーヌ修道院、一昨日のル・トロネ修道院に続いて、この日はセナンク修道院を訪問できました。「プロヴァンスの三姉妹」を制覇です。上の写真の本「L'ART CISTERCIEN / FRANCE」シトー派修道院(フランス国内)では観るべき重要なところは13か所となっています。

私が巡ったのは、Silvacane(1999) Fontenay(2000) Le Thoronet(2003)Senanque(2003)Pontigny(2008) Noirlac(2010)Fontfroide(2011)の7か所ですが、どこも人里離れた深い森や谷間にあり、公共のバスの便はありません。その点「プロヴァンスの三姉妹」はエクスからバスツアーも出ていますので、曜日を合わせて回るのは可能です。

 

 ↓ 帰途はゴルドに寄ってのんびり街の散歩と水分補給の休憩。

 

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↓ゴルドの眺望

 

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 7時過ぎにエクスに到着。ホテルへの道の途中にあるベトナム料理屋での夕食。生春巻きやフォーをいただいて(安くて旨い!)ホテルに戻りました。

今日もかなりな酷暑でした。ルシヨンで具合が悪くて、道端で倒れている人も見かけました。観光で疲れが出ないように、なるべくのんびり歩こうと思います。


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(4)エクサンプロヴァンス [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/25(金)

ホテル・マノアールは経営者が変わって、改装したので綺麗になっていましたし、ダブルの部屋はバスルームもついています。ただ、エアコンも冷蔵庫もないのは変わっていません。こう暑いと窓は開けて寝なければしょうがないですし、買ってきたミネラルウォーターもすぐにぬるくなってしまいます。ただ、このホテルにはは古い修道院を改築した風情のある朝食室が残っていて、オープンエアーなので朝の涼風が石のアーチを吹き抜けて爽やかなのです。基本はパンとコーヒーまたはシリアルなどの簡素なものですが、注文すると絞り立てのオレンジジュース(3ユーロ)をつけてもらえます。以前に来た時よりパン、コーヒーとも質が良くなってました。

↓朝食はテラスで


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↓奥の方はリラックスコーナー。次女は早速「ここは涼しい~!」と、くつろいでいます。


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 ↓次女はエクスが初めてなので、プラタナスの並木が続くミラボー大通りから


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グラネ美術館へ行きましたが、改築中のため閉館(2006まで)でした。


ランチは大通りに面したスペイン料理の店で、パエリアなど。今日も暑くて冷たいビールが美味しい。


午後は部屋で休憩。夕方近くに丘の上の「セザンヌのアトリエ」へ。徒歩で20分くらいで大きな木に囲まれたアトリエに到着。セザンヌの遺品が置かれた室内、ガラスの窓も大きく素敵です。本物の絵画は残されていませんが、よく題材にしていたリンゴやキューピット像などが置かれていました。


↓セザンヌのアトリエの前で


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TVで猛暑のためドイツ人の旅行者が熱中症で亡くなったというニュースが流れ(これ以後は毎日のように)驚くとともに、帽子、サングラス、水分の補給に気を付けて歩こうと、再確認。小さなマホービンを持ってきていたので、冷たい水を飲めるのも助けになったようです。


オペラは『椿姫』(春にベルリンで観たものと同じ演出)と『後宮からの逃走』(ミンコフスキ指揮)の2公演の予定でしたが、幻に終わったので、エクスでは娘と夕食をとる時間もたっぷりできました。近所にできた新しいレストランで、ちょっとお洒落な南仏料理のディナーでした。




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(3)ラ・セル~エクサンプロヴァンス [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/24(木)


↓朝食もテラスで。この近辺は蜂蜜も特産品なので壺ごとテーブルに置かれていたのですが、そこに蜜蜂が飛び込んできてびっくり!蜜蜂は興奮?したのか恨みで刺されそうと、慌てて逃げました。係の人は少しも慌てず、新しいものに取り換え…慣れてるのでしょうか。昨夜は満席でしたが、朝は私一人でした。


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↓野菜はここの自家農園で栽培されたものというので、林の向こうの畑を観に行ってきました。


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↓ ホテルの敷地に隣接するラ・セルの教会(12世紀末の建立)にも行ってみましたが、閉まっていました。ミッシュランのグリーンガイドによりますと回廊の遺構や15世紀の初めの「十字架のキリスト」の彫刻があるようです。  建物の外観は極シンプル、


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教会前の小さな広場には屋根の付いた泉があり、移動車の食品店の店先には御近所の婦人達がお買い物。のどかな風景です。

 

 ホテルのコンシェルジェにエクスまでのバスがあることを確認し、昼にチェックアウト。

↓優雅なホテルライフを楽しめました。出発前に記念撮影。


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 Brignolesのバスターミナルから出発。町外れからは廃線になった単線の鉄道と並行に走り、途中、St-Maximin-la-Ste-Baumeを通過しましたが、教会は車窓からは見えませんでした。この町は観光客も多いらしく、カフェやレストランのテラス席は大にぎわい。

バスはほとんど貸しきり状態で、途中のバス停もまだ時間前というのに、人がいないとフルスピードで駆け抜けます。セザンヌの絵画で知られているサント・ヴィクトワール山の裾野を走り、終点はエクスの中心ド.ゴール広場から数百メートル離れたgare routièreと呼ばれるバスターミナル 。1時間ほどで到着。ここにはタクシーが昼寝中ですが、待っていました。

 

 イタリア〜ミュンヘンと回っていた娘とほぼ同じ時刻にホテルにはいり、元気な姿にひと安心。エクサンプロヴァンス/Hotel Manoir 3泊

このホテルの部屋代は昨日の4分の1という格安ホテルで、4年前にも友人達と泊まって気に入ってました。

 

↓ホテル前の食堂のワンコもまだ健在でした。

 

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 遅いランチのあと、徒歩5分くらいのサン.ソヴール聖堂へ。この日も40度近い気温です。2時過ぎになると西日がますます強く、ジリジリ灼かれる状態に。。。。水分の補給に忙しい。それにしても日本では美白だとかUVカットとか気にされるかたが多いですが、こちらはこの夏の太陽は楽しむものという考え、それが当たり前。日本は自然から離れた人工的な感覚の美白(商業主義に踊らされている?)が当たり前になっているのですが……。

 

☆サン・ソヴェール大聖堂Cathédrale St Sauveur

 サン・ソヴェール大聖堂は左右2つの異なった形式(ロマネスクとゴシック)の扉口を持ち、内部も5世紀のメロヴィング朝時代の洗礼堂から15世紀のトリプティク「燃える茨」まで多彩です。ロマネスクの回廊は以前は鍵がかかっていて、数名以上集まれば見せてあげるという張り紙があり、断念したのですが、今回は30分おきにガイドつき(仏語)で見学できるようになりました。いままで観たなかでは一番小じんまりとした、そして柱も細いせいか優美な感じのする回廊でした。

 

↓柱頭彫刻

 

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建物は改築を重ね非常に複雑になっています。ゴシックの終わりに華開いたフランボワイヤンスタイルも見られます。

 

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旅の前に知っていましたが、音楽祭は中止になりましたので、大聖堂近くの窓口でオペラのチケットを払い戻す手続きをしました。キャッシュではなくクレジットカードの口座に払い戻されるそうです。

 

 ランチが遅かったので、夕食も涼しくなった夜になってから。4年前に友人たちと利用したレストランの路上ディナー。

 

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↓魚のスープ、舌平目のグリルをシェアして、ロゼワインで乾杯。

 

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ホテルはエアコンなし、冷蔵庫無しですが、近所にネットカフェやコインランドリーもあり、快適便利な滞在ができそうです。



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(2)マルセイユ~ラ・セル [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

7/23(水)

↓朝のベランダから


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 朝食は景色を楽しみながらベランダで食べたかったので、ルームサービスを7時にお願いしていたのですが7時半になっても現れないので、諦めて下の朝食室へ。私のフランス語が通じなかったのかも・・・と文句もでません。8日後には戻ってくるからとスーツケースを預けて、8時にチェックアウト。小さなキャリーバックとガーナメントの7泊分の荷物で駅へ。


マルセイユSNCF8:35→レザルク(Les arcs Draguignan)9:50(40分遅れ10:30到着)


 レザルク駅はTGVも停まる駅ですから当然タクシーはいるはずと思い、ル・トロネ修道院に行くつもりでしたが、一台もタクシーが止まっていません。駅の窓口も不親切で、忙しいからと断られ困っていましたら、携帯電話を持った親切な方がタクシー会社に電話してくれました。ところが、どこも今日は貸し切りや予約で来られないとのこと。こういうことにぶつかるとファイト!と自分を励ますしかありません。近くの大きな町トゥーロンに引き返してみようと思い立って、まもなく来た列車に飛び乗りました。


 トゥーロン駅の構内に観光(i)があり尋ねましたら、今夜の宿の近くの町ブリニョールBrignollesまでバスがあるというのです。駅前のバス乗り場の隅にプレハブの小さな小屋があり、そこに貼られた時間表を確認すると13:30発Autocar Blancというバスです。1時間半ほど時間があり、駅前のカフェでゆっくりランチ。とにかくこの日も暑くてトゥーロンの街を歩く気力もでません。


 ほぼ時間通りに来たバスで出発。列車からも見えたファロン山の山裾をぐるっと回り、1時間ほど谷間の道などを走り、ブリニョールのバスターミナルに到着。ところがここもタクシーの姿はなく・・・困ったときのカフェ頼みです。近くのカフェに飛び込んでコーヒー代のほかに1€あげてタクシーを呼んでもらいました。


 先ずはル・トロネ修道院へ。かなり細い道も(近道だったのかも)、すごいスピードで走り、怖くて心の中で「どうせ死ぬならル・トロネを観てからにしてください神様!」と祈ったほど。到着したら「見学が終わったら電話して」と、荷物ごと降ろされてしまいました。荷物はパーキングの傍の小さなスタンド式カフェのお兄さんが預かってくれました。


ここからも緑が生い茂って修道院が見えないほどです。看板に沿って林の中の小道を行くとすぐ目の前にショップ兼チケット売り場の棟があり、ここを抜けるとようやく念願のル.トロネ修道院がその姿を現わしました。青い真夏の空を背景に静かに建って迎えてくれました。気温は40度近く、吹き出る汗と感涙?でしばらく茫然状態でした。


↓ル・トロネ修道院


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ル・トロネ修道院Abbaye du Thoronet


シルヴァーカーヌ、セナンク修道院と並んでプロヴァンスの三大シトー派の修道院です。「プロヴァンスの三姉妹」の長女としてロマネスク聖堂の名建築として知られています。1160年から建設が始まり1175年にほぼ完成。15世紀ごろから衰退がはじまり、建物も崩れ始め消滅寸前のところ、19世紀になってプロスパー・メリメによって発見され、改築が進みました。

↓プラン


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↓ファサード上部。下部の中央扉口を欠き、右扉口から内部へ


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 シトー派の僧たちが自分達で石材を切り出し、積み上げて建てたものの重みがズシンと胸に響きます。淡い赤みのある石なのでその重量感は決して石の冷たさを感じさせません。また石の角が鋭く処理され、シトー派の厳格さ、はりつめた美を見ることができます。内陣には小さな舞台が作られ、今夜のコンサートの準備ができていました。音響効果も素晴らしいそうです。

見学者は2,3人程度でしたが、装飾を完全に省いた純粋な形から生まれる荘厳な雰囲気。カメラを構えるのが躊躇われました。


↓上階には僧たちの寝室があり、回廊が見えました



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↓水汲み場



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↓回廊は力強いフォルムを持つ柱が並び、僧たちの瞑想を妨げないシトー派の空間として考慮されています。戸外の真夏の陽光と影がくっきり。苦行の末のご褒美のような静謐なひと時、至福の時間でした。


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↓後陣にも回ってみました。この時で5時近くになっていましたので、さすがに東側は暗くなってきました。

 

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 お迎えのタクシーも荷物を預かってくれた青年が電話をしてくれました。困ったときのご親切はいつまでも忘れません。さて、 迎えに来たタクシーは先ほどのおじさんと違う若い人ですが、  ガールフレンドが同乗しています。日本なら首だわと思いながら、彼の勧めでガールフレンドと交替して助手席に乗りました。往復でチップも含め70ユーロでした。帰りも飛ばして片道20分くらいで宿泊予定のラセル村のホテルに着きました。

 

ラ・セル/Hostellerie de L'Abbaye de la Celle 1泊

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アラン・デュカスがプロデュースしたこの料理宿、フランスの片田舎とは思えない洗練されたホテルです。部屋はL字型の角部屋でラベンダーの薫りが漂い、エアコンも適度に効いていました。それでも着いたそうそうコーラを一本がぶ飲みしたほど、暑さに参っていた私。無理もありません。昨日の札幌は20度以下でしたもの。

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↓夕食は戸外のテラスで、

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2時間たっぷりかかって37ユーロのコースをたいらげました。野菜を主体にヘルシーな献立です。食前酒は迷っていたら「私に任せて!」とサービスの若い娘さん。ホントにトレトレ ボン!お料理の味付けも淡白で、すこぶる美味でした。常連らしい老夫婦もこのコース、食事のあとホテルの木立を抜けて仲良く帰って行く姿(別棟に滞在?)は、老いの寂しさとのんびりと夫婦で余生を過ごす幸福が入り交じって見えました。

 

 

 

 

 




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(1)札幌~関空~パリ~マルセイユ [2003夏南仏とザルツブルクの旅]

 南フランスのエクサンプロヴァンスとザルツブルクの音楽祭の合間に来春結婚を控えた次女とプロヴァンスを周遊することになりました。オペラやコンサートのチケットも春には手配済みでしたが、エクサンプロヴァンスの夏の音楽祭はストで中止。旅好きな母娘ふたりで出かけるのも多分最後・・・思い出深い旅になりました。


日程: マルセイユ(1)~ラ・セル(1)~エクサンプロヴァンス(3)~アルル(3)~マルセーユ(1)~ザルツブルク(5) 14泊16日


MAP:




 6月に寿退社した次女はすでに最後の独身旅行にイタリアへ出発しています。落ち合う場所はエクサンプロヴァンスに決め、私も何日か遅れて旅立ちました。


7/22(火)千歳8:00→関空10:05/11:35→パリ17:00/18:45→マルセイユ20:10


マルセイユ/Hotel La Residence du Vieux-Port


 早朝6:00に家を出発。夫が風邪をひいていましたので、長女に車で送ってもらいました。南郷通のインターを間違えて大曲まで一般道路を走り遠回りになり、ハラハラ。でも何とか間に合いました。そろそろ夏休みの時期とあってエール・フランス機は混んでいましたが、ラッキーなことに2席空いているところに移ってもOKとなり、助かりました。


さて、マルセイユ空港に到着しましたが、夜でも30度以上の猛暑!バスを探す気力もなく、すぐタクシーに乗ってホテルへ。

ホテルは旧港Vieux-Portに面した素晴らしい立地ですが、建物はやや古くレセプションに人たちも不愛想。

↓でも部屋からの眺めは素晴らしい~!!9時過ぎてもまだ明るいのです。


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夜が更けても旧港を夕涼みで散歩する人たちの姿が絶えません。しかし、この暑さが続くことになろうとは・・・2003夏フランスは記録的な猛暑に見舞われたのです。


タグ:マルセイユ
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(17、18&19)ウィーン&帰国 [2003春パリからベルリンへの旅]

4/24(木)


 今回の旅も実質今日で終わります。途中ボローニャで腰痛に悩まされましたが、ウィーンとベルリンでは痛みもなくなりました。また、雨にも当たらず天候にも恵まれました。

朝食後は初訪問になるミュージアム・クォーターのレオポルド美術館へ。ホテルから徒歩10~15分くらいです。


↓ミュージアム・クォーター


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☆レオポルド美術館LEOPOLD MUSEUM

2001年にレオポルド夫妻のコレクションをもとに設立。オーストリア表現主義の画家エゴン・シーレEgon Schiele(1890-1918)の作品が多数展示されています。


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上のカタログの表紙はシーレ「ホオズキの実のある自画像」1912  32.2×39.8


↓シーレ「ストライプ柄のドレスで座るエディット・シーレ」1915  51×40


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シーレは自画像を多く描きましたが、「ひまわり」の絵も自画像の趣があると言われています。枯れたひまわりに自己を投影していたかのように、激しく荒々しい表現に不安感と悲痛をにじませています。


↓シーレ「ヒマワリ」1909-10 


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 館内のお洒落なカフェでケーキとお茶で一休み。↓美術史美術館と自然史博物館のエリアを抜けてウィーンの街の散策。

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歩き回って空腹になり、路地裏のレストランのテラス席でランチ


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夕方からはオペラです


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♪~ベッリーニ「夢遊病の女 La Sonnambula」19:30開演@ウィーン国立歌劇場


指揮:Stefano Ranzani  演出:Marco Arturo Marelli


アミーナ:Stefania Bonfadelli   エルヴィーノ:Juan Diego Florez

ロドルフォ:Dan Paul Dumitresch     テレサ:Mihaela Ungureanu

リサ:Simina Ivan      Alessio:Boaz Daniel


オーケストラ&コーラス/ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団


いつの間にかフローレスの追っかけおばさんの一人になってしまったので、年に一度は生の舞台で彼の歌唱に耳を傾けたいと、スケジュールにあわせ早くから準備することになります。こういう場合インターネットからの情報は大変貴重です。今回は生憎イラク戦争が始まったときでした。日本からのツアーも潰れたのでしょうか。最前列の中央10席ほどが空席になっていました。私の席はその最前列の左端でした。


舞台はガラス張りのホテルのロビーのような黒いグランドピアノの置かれた部屋。2幕になるとこの部屋は窓から雪が吹き込みピアノも壊れ、悲劇的要素を強める装置に変わります。

フローレスは聴くたびに進化していきます。、本当に非の打ち所のない歌唱と演技。アリアの高音もピシッときまり、悩めるややマザコンのエルヴィーノを憂いをこめて歌い上げました。ボンファデッリもこのときの舞台が私の聞いた中では最高だったと思います。姿も美しく、ベストカップルの主人公たちにカーテンコールも熱く、何度も繰り返されました。私は疲れたので途中で劇場を後にしたくらいの長い長いカーテンコールでした。今思えばキャリアの最高地点に立ったボンファデッリとこれからまだ高みを目指すフローレスとのほんの短い邂逅であったのかなと・・・やはり一期一会。

幕間に個人で来られた日本のシニアの女性はオーストリア航空がキャンセルになって、予定の便で帰れないと嘆かれていました。私の方の実害はなかったとはいえ、やはりこういう時期はなるべく海外遠征は控えた方が良いのかも知れません。席は平土間最前列左側157€。



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↓ボンファデッリの稽古風景とプログラム


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参考CD:ベッリーニ「夢遊病の女」


指揮:アントニーノ・ヴォット―  オーケストラと合唱:ミラノスカラ座管弦楽団と合唱団


ロドルフォ伯爵:二コラ・ザッカリア   テレサ:フィオレンツァ・コソット 

アミーナ:マリア・カラス  エルヴィーノ:二コラ・モンティ   リーサ:エウジェニア・ラッティ


1967ミラノにて収録 


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4/25(金)ウィーン18:15→フランクフルト19:50/21:05→

4/26(土)→成田15:20/18:30→千歳19:50


帰途のJAL便はがらがらで、無事我が家にたどり着きました。17泊19日のいつもより4日ほど長いので、渋る夫に頼み込んで延ばしてもらった貴重な日々。

オペラ9公演とロマネスク巡りに美術館も初めてのところも多く、有意義な旅を終えることができました。次回の2003夏の旅は来春ロサンゼルスで結婚することになった次女と南仏を回ります。(END)









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