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(4-1)オリスターノ(ギラルツァ、ズーリ、オッターナ、シラヌス) [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]

6/24(金)

 昨日Oristano駅から乗ったタクシーの運転手さんはほとんど英語のできない人だったので、ホテルに今日のタクシーを頼むつもりでした。ところが、愛想良く、なんだかんだと私の予定を聞きだし、出発時間に行くよというのです。言葉がわからないふりで降車したのですが・・・。朝9時にロビーに下りてみたら、ちゃっかり待ち構えていました。ホテルの人とも親しげにしていたので、まあいいかと地図を見せて廻る場所を確認し、出発です。計画では9時から1時半までの4時間半で250キロほど走ります。


まず、北東へ。Abbasantaという町を抜け右折するとまもなくGhilarza。街道沿いに今日の第一番目の教会が建っていました。

☆ギラルツアのサン・パルメリオ教会San Palmerio

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あいにく逆光のため暗い写真になってしまいました。正面上部の簡素な鐘楼はUtaVilla Speciosaに似ていますが、ここで初めてサルデーニャに多い(ピサ様式)白・黒ストライプの石積み外壁を持つ教会に出会いました。ここもあいにく閉鎖中。民家や塀と繋がって建ってますから後背部の確認もできないのは淋しい気持ち。写真では不鮮明ですが、側面最上部に半円形の小さい窓が数多く並んでいます。


正面向かって右側の少し離れたところに15世紀のカタロニア様式の塔。ここからさらに東へ進むとOmodeo湖が見えてきました。オモデオ湖はダムのために造られた人造湖です。このとき(1953年)古い民家などが湖の底に沈んだのですが、サン・ピエトロ教会だけは現在地に1923-25年に移築されました。湖を見渡せる丘の上に建っています。

小さな集落があり一軒の家がこの教会の鍵を持っているのですが、予約もしないで来てしまったので内部には入れませんでした。

☆ズーリのサン・ピエトロ教会San Pietro di Zuri

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13世紀から14世紀に建設されたロマネスク=ゴシック様式の教会です。外壁の明るいレンガ色、ファサードのまぐさ石やつけ柱に飾られた素朴な丸っこい浮き彫りに思わず「湖の底に沈められなくて良かったね~」と独り言。横の鐘楼の下から後背部に廻ると湖が顔面に開けてきます。後陣は下の写真のように5角形?に張り出し、両脇の付け柱はそのまま外壁と繋がっています。この付け柱の中間にかわいらしい手をつないだ子供たちの浮き彫りがあります。湖ができた当時の子供たちもこうして自分たちの村落が沈むさまを見ていたのでしょうか・・・切ない気持ちになりました。

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参考書の写真によりますと、内部は単廊式で内陣は階段を少し上ったところにあり、柱がないので高い窓からの採光が意外に明るい空間を造っています。

この後は湖の景観を楽しみながら次の目的地オッターナへ向かいました

イタリア・ロマネスクの本が年に12冊の割合で出版されています。イタリア語はほんの片言なので読むのは無理なのですが、こうして個人でロマネスクの旅をするうえでの強力な助っ人になっています。サルデーニャ版がボローニャのネット書店から届いて、下の表紙
を見たときにサルデーニャ行きを決意したというわけです。


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さて、いよいよその思い入れの深いオッターナに到着しました。

サルデーニャのなかでも名教会として知られるのがサン・ニコラ教会。昔は羊飼いの町、今はやや近代的な工業の町となったオッターナの町の中心の小高い場所に、重々しく(もっと鄙びた教会との想像ははずれ)建っていました。逆光で写真が黒っぽく写りましたが、外壁の墨色や濃淡の茶色のグラデーションの美しくこと!周りは手入れの行き届いた芝生や花で飾られ、さすが!です。


☆オッターナのサン・二コラ教会San Nicola di Ottana

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↓近くから写すとようやくきれいな色になりました。

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内部の写真は手違いで失ってしまいましたが、単廊式の神聖な場所という感じの強い空間でした。ピサ様式の教会なので、正面上部の2連の開かれた窓や入れ子になった菱形の意匠なども素敵です。そういえばカリアリの銀行にもこの教会の大きなポスターが飾られていました。


朝から夢中になってここまで来られたから、もう満足。後は付録だわと思いながらも次の目的地シラヌスへ。ところが付録どころか、またまたサルデーニャらしい景観に触れることができたのです。シラヌスの町から近く、国道沿いに初めに見えてきたのは単一で立つヌラーゲでした。そして、その陰から現れたのが赤い帽子の屋根が可愛い、小さなサンタ・サビーナ教会(11世紀)。運転手さんと声をそろえて「ベリッシマ!!」の連発でした。(笑)望遠レンズがない安デジカメなので、上手くふたつを収められなくて、ぎりぎりのアングル・・・。

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ロマネスク聖堂をひとつでも多く見たいという旅。それも1週間という限られた時間です。途中有名なヌラーゲの集落もあったのですが、そのために道をそれることもかなわずでした。ここでヌラーゲも見学できるというのですから喜びました。周囲は枯れ草に覆われた草原ですが、教会の近くまで車は入れます。


☆シラヌスのサンタ・サビーナ教会Santa Sabina di Silanus



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後背部の脇に立つ一本の木がサルデーニャの厳しい風土を物語っているようです


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残念ながら隣の管理棟?には人影なし。内部は見学できませんでした。参考書のプランによりますと、中心はロトンダ様式の円形の身廊に両脇にふたつの礼拝室という構成。それぞれ半円形の後陣が付随。


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先史時代に誕生したヌラーゲ文化はサルデーニャの独自性を最も現しています。各地で発掘されたヌラーゲは7000を数え、そのうち世界遺産にもなっているBaruminiの集落は世界遺産に登録されています。ここシラヌスのヌラーゲは墓室(聖なる井戸と巨人の墓)ということで内部はしめ縄?を張ったような祭壇が飾られ、脇の階段は屋根の上に続いています。私のほかに足の悪いお父さんと一緒に来ていた若い女性が(上の写真、ヌラーゲの上にいます)上りました。私が先に降りた後、彼女はしばらく祈るように佇んでいました。いつまでも忘れられない風景です。

ここからマコメールを経て、オリスターノに戻る途中、わき道を西にそれます。続きます~。


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