(4)ペーザロ(リミニ) [2004夏ペーザロ、スポレート&ザルツブルク]
8/20(金)ペーザロ~リミニ~ペーザロ(列車で約30分)
この日はペーザロから鉄道で北上して、同じアドレア海沿いの街リミニを訪れました。この町を訪れた目的は二か所なのですが、まず地図をもらうために(i)へ。聖堂の名前をよく覚えていなかったので、ピエロ・デッラ・フランシスカの・・・というとすぐに地図に印をつけてくれました。駅からは徒歩数分で
↓Tempio Malatestianoマラテスタの聖堂
上の写真はこのときいただいたリーフレットからスキャンしたものです。元はゴシックの礼拝堂でしたが、リミニの領主シジスモンド・マラテスタの要望により15世紀に改造(上部未完成)。その後第二次大戦中に深刻な被害を受け、戦後修復されました。内部はバジリカ形式の単廊式ですが、身廊の両側に礼拝室が並んでいて、華やかな天使や動物の彫刻で飾られています。奥の右北側の礼拝室にピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画(→画布)があります。
写真は1枚だけ撮らせてもらったのですが失敗(暗かった)したので、Web上から拝借しました。
↓ピエロ・デッラ・フランチェスカ「聖シギスムンドゥスを礼拝するシジスモンド・マラテスタ」
ピエロは冷酷無比として知られたリミニ領主を他にも描いています。両方とも1451年頃の作
左 上のリミニのもの 右 ルーヴル美術館蔵
次に訪れたのはリミニ市立美術館です。ここで観るべきものはジョヴァンニ・ベッリーニの「ピエタ」です。他には観るべきものもないようでしたから、時間も限られていますし、足早に展示室を抜けて、ようやく発見!
撮影禁止でしたので、Wikiから拝借しました。
↓Giovanni Bellini「Pieta/4人の天使に支えられる死せるキリスト」1474頃91×131
↓絵葉書(部分)
天使たちのの可愛らしさにノックダウン!画家の中期の傑作として知られています。
駅までの帰り道、ジェラートを食べてほっと一息。また電車でペーザロに戻りました。
記憶違いがあるかもしれませんが、遅いランチは海辺のレストランでKさんといただきました。明日訪問予定のポルトノーヴォやセッニガリアのことをすでに訪問済みだったKさんにお聞きして一安心。
↓オペラの前に自撮り
♪~ロッシーニ「マチルデとシャブランMATILDE DI SHABRAN」@TEATRO ROSSINI20:00開演
指揮:RICCARDO FRIZZA 演出:MARIO MARTONE
Matilde di Shabran:ANNICK MASSIS Edoardo:HARDER HALVY Ralmondo Lopez:
BRUNO TADDIA Corradino:JUAN DIEGO FLOREZ Ginardo:CARLO LEPORE
Aliprand:MARCO VINCO Isidoro:BRUNO DE SIMONE Contessa d'Arco:CHIARA CHIALLI
この演目は初めてで,予習もままならぬままに現地に来てしまいました。何といっても楽しみは、追っかけのテノール・フローレスの輝かしい歌声を聴くことでした。3公演のうち一番高いかぶりつきの席を奮発しました。日本人団体さん(ロッシーニ協会のメンバー?)がずらりと最前列に並んでいて、壮観でした。
指揮者は初めて聴いた若い方ですが、素晴らしく熱の入った指揮ぶりで、汗で指揮棒が飛んで前列の日本人席へ!圧倒的なフローレスとマシスの歌唱に息を飲んだ記憶があります。私のオペラ行脚のなかでも輝かしい一ページになりました。
↓プログラム
↓TEATRO ROSSINI(絵葉書)
参考CD:ROSSINI「MATILDE DI SHABRAN」1998年7月WILDBADのロッシーニ音楽祭のライブ録音
指揮:FRANCESCO CORTI
Matilda di Shabran:Akie Amou Edoardo:Roswetha Grabmeier Muller
Ralmondo Lopez:Thomas Ruf Corradino:Ricardo Bernal
Bongiovanni社製なので、多分ボローニャで買い求めたCD。指揮のFRANCESCO CORTI はあのチェンバロ奏者のコルティ君とは同姓同名らしい・・・。
参考CD:ROSSINI「MATILDE DI SHABRAN」2004夏ペーザロでのライブ盤/2006年DECCA社発売
ペーザロは今夜が最後です。明日からはウンブリアのロマネスク聖堂巡りとピエロの傑作を観るために移動します。
(3)ペーザロ(ウルビーノ) [2004夏ペーザロ、スポレート&ザルツブルク]
8/19(木)
この日はウルビーノ観光をしました。バスはペーザロの駅前から出発してウルビーノのドゥカーレ宮殿の裏側に到着しました。Kさんに教えていただいて宮殿のエレベーターから丘の上の街に出られ楽ちんです。早速宮殿内のマルケ国立美術館へ。この町はゴシック期よりモンテフェルトロ家が収めていたのですが、かの有名なフェデリコが跡を継ぎ傭兵隊長として、領土を3倍にしたといいます。平和になってもその手腕は冴えピサネッロ、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、ウッチェロなどの画家や人文学者などが集まり隆盛。フェデリコが建て直させたドゥカーレ宮殿はルネッサンス様式の一大傑作とされています。宮殿内の部屋で最も印象に残ったのはフェデリコの書斎でした。傭兵隊長として負け知らずだった軍人の顔とは反対の物静かな思索にふける横顔がこの小さな空間にふさわしいと思われました。
しかし、全体は1フロアの高さが日本の家の3階分はあろうかと思うほどの規模なので、1階昇るのもハアハア・・・。
カメラは禁止なので絵葉書で。
↓ピエロ・デッラ・フランチェスカ「キリストの鞭打ち」1460-65頃58.3×81.5
一目見て引き寄せられる謎めいた作品です。主題はキリストの磔刑というポピュラーなものですが、肝心のキリストは左奥に配され、なぜか右半分を占める3人の人物は議論中?大きさからも一般の祭壇画とは違うサイズということもあり、ピエロの革新性が光る作品です。厳密な遠近法による空間、下部の煉瓦色と白色のはっきりした舗道?をはじめとしたさまざまな色彩はイタリアの陽光の下に生き生きしています。人物左の衣装は玉虫色が綺麗!図像解釈については多くの論があるようです。
ここにはピエロの作品はもう一点「セッニガリアの聖母」あるのですが、特別展で元あった場所のセッニガリアに里帰りしています。ペーザロの滞在後に立ち寄る予定です。
ラファエロはこの地に誕生しています。生家が公開されているので寄ってみました。途中で迷ったのですが、運よくインフォがあり、辿り着きました。小さな古い家に1枚の「聖母子」(フレスコ/ラファエロ最初の作品16歳頃)が残されています。
↓Rafaello Sanzio「Madonna col Bambino」1499頃97×67
このあとは何枚の聖母子を描いたのでしょう。ルネッサンスの巨匠として歩み始める出発点にたつのはなかなか感慨深いものでした。
バスの出発時間まで途中でジェラートを食べてましたら、偶然Kさんが通りがかり、帰りもご一緒させていただきました。
↓ウルビーノ全景(絵葉書)
↓ポポロ広場(暑いので人影なし)近くでランチを済ませ
↓広場から海に向かう道
♪~ロッシーニ『ELISABETTA REGINA D'INGHILTERRAイギリスの女王エリザベッタ』@AUDITORIUM PEDROTTI 20:00開演
指揮:レナート・パレンボ 演出:ダニエル:アバド
エリザベッタ:ソニア・ガナッシ レイチェスター:ブルース・スレッジ
マチルデ:マリオラ:カンタレロ ヱンリーコ:マヌエラ・カスター
ノーフォーク:アントニオ・シラク―サ グリエルも:フィリッポ・アダミ
オーケストラ:TEATRO COMUNALE DI BOLOGNA
この演目は初めてでしたが、歌手陣が素晴らしく、特にガナッシとシラク―サの丁々発止といえる声の競演には度肝を抜かれました。シラク―サのイタリアの青空のように晴れやかに伸びる高音にノックアウトでした。
舞台は豪華というより硬質なパイプを多用したもの。そのなかでの女王や回りの貴族たちの人間模様はドロドロした愛と裏切り・・・。なかなかに優れた舞台にペーザロの「勢い」を感じました。
↓プログラム
↓舞台写真(現地で購入)
K子さん、Mさんご夫妻(ボローニャ在)とは同宿でしたので、一緒に劇場に向かう時だったと記憶していますが、オペラ評論家の永竹先生(2012年逝去)と偶然お会いしました。札幌のオペラ仲間うちでも有名な方でしたが、とても気さくで、ユーモアたっぷりのお話も楽しい方でした。
予習CD:Rossini『Elisabetta Regina d'Inghilterra』1970年ミラノにてライブ録音
Conductor:Nino Sanzogno
Elisabetta:Leyla Gencer Leicster :UmbetrtoGrilli Matilde:Sylvia Geszty
Enrico:Wilma Borelli Norfolk:Pietro Bottazzo Guglielmo:Glauco Scarlini
Orchestra e Coro del Teatro Massimo di Palermo
(2)ボローニャ~ペーザロ [2004夏ペーザロ、スポレート&ザルツブルク]
8/18(水)ボローニャ8:56→ペーザロ10:25
ペーザロ/Cruiser Congress Hotel3泊
スーツケースをボローニャのホテルに預けいつものように身軽に出発します。でも6泊用とはいえオペラ観劇用も含め3個に分散した荷物はやはり・・・重い(涙)
ペーザロの駅は地下通路にエレベーター完備で助かりました。この時エレベーターで一緒になったMさんご夫婦とは後ほど友人の知人の方と判明。
ホテルのロビーでKさんとお会いできましたし、ランチもこの時初対面だったAさん、Wさんに先ほどのMさんご夫妻の総勢6名で賑やかでした。私以外はペーザロの御常連さんたちです。
ホテルからは徒歩15分ほどのレストランは素敵な内装、奥に陣取ってペーザロの海の幸グルメを堪能しました。
午睡の後は着替えて初ロッシーニ音楽祭へ。海辺の町に合せて?ブルーのブラウスと白いパンツでカジュアルに。
♪~ROSSINI『TANCREDI』@Para Fistavel20:00開演
指揮:PABLO PEREZ 演出:PIER LUIGI PIZZI
Argirio:Gregory Kunde Tancredi:Marianna Pizzolato Orbazzano:Marco Spotti
Amenaide:Patrizia Ciofi Isaura:Agata Bienkowska Roggiero:Anna Chierichetti
オーケストラ:Sinfonica de Galicia 合唱:Camera di Praga
前年びわ湖ホールでの来日公演(トリエステ)がきっかけで、このオペラが大好きになりました。この5年前でしたか?ペーザロ音楽祭で大成功を収め一躍スター歌手の仲間入りを果たしたバルチェローナがタイトルロールでした。ペーザロでは残念ながら彼女は歌わず、チケット手配した時はカサロヴァとのことで、それはそれで期待していたのですが、キャスト変更があり、結局ピッツア―トに。。。
求めるものが大きすぎたようで、ロッシーニの躍動感や輝きが感じられないままに終わってしまいました。クンデとチョーフィは健闘していた記憶はありますが、直前に予習した下記の優れた映像のせい?印象は薄いのは残念でした。
↓プログラム
参考映像:
ロッシーニ:歌劇《タンクレディ》全曲(フェラーラ版) (1992年)
指揮:ジャンルイジ・ジェルメッティ 演出:ピエール・ルイージ・ピツツィタンクレデイ: マンカ・ディ・ニッサ アルジーリオ:ラウル・ヒメネス
アメナイーデ:マリア・バーヨ オルバッツァーノ:イルデブランド・ダルカンジェロ
2004年5月オペラ愛好会にて鑑賞
参考CD:Rossini [TANCREDI]/1995 ミュンヘンのスタジオ録音
参考CD:ROSSINI「TANCREDI」1999年8月TEATRO ROSSINI
(1)札幌~ボローニャ [2004夏ペーザロ、スポレート&ザルツブルク]
8/17(火)
札幌8:00→関空10:05/11:35→パリ16:00(JL)/18:15→ボローニャ19:55(AF)
ボローニャ/Jolly de la Gare 1泊
関空からパリまではエールフランス(JALの共同便)でしたが、折しもアテネ・オリンピックが開催されていて満席のためオーバーブッキング!晴れて?私はビジネスクラスへ。左右の席は当然ながらオリンピックへ行かれる方たちでした。ところがそそっかしい私は赤ワインをこぼしてしまい大汗。隣席の若い男性がすぐさまタオルで拭いてくれたり、気が利く方で本当に助かりました。
パリ経由で同日のうちにイタリアのボローニャに入りました。空港からボローニャ中央駅前のホテルまで10K程度なので、タクシーで向かいました。この年の春は次女の結婚式がロサンジェルスであり、家族3人で出席しました。そして帰国後の愛犬の死、引っ越しと続きました。なんとか殺人的スケジュールを終えて、初めてのペーザロのロッシーニ音楽祭と3回目のザルツブルク音楽祭の旅です。
ボローニャでは市内見学をする暇はありませんので、スーツケースの預かりと鉄道移動に便利な駅近にしました。ホテルにチエックイン後、目の前の駅に行って明日のペーザロまでの切符を購入。両音楽祭の間の回るロマネスク巡礼も楽しみです。
旅程はボローニャ(1)~ペーザロ(3)~アンコーナ(1)~スポレート(2)~ボローニャ(1)~ザルツブルク(6)の14泊16日です。
MAP(イタリア中部)
(10&11.12)ロサンジェルス&帰国 [2003秋シカゴとロサンジェルスの旅]
11/30(月)
旅も終わりに近づき、今日はロサンジェルス最後の日です。ゆっくり起床して朝食を済ませ、散歩していましたら、どこからか教会の鐘の音が・・・ビバリーヒルズのカソリック教会がロデオ・ドライブの北に建っています。
Y子さんはファミリー揃ってのクリスチャンなので、ここでミサに授かれる~と嬉しそうです。早速中に入ってみました。ところが今日は音楽会のようで、ヴァイオリンやオルガンの演奏中です。神父様がバッハの崇拝者らしく、熱の入ったコメントも入って、地元のアマチュアの演奏者でしたが、楽しめました。教会で聴くバッハは格別に印象的でした。コンサートの終わりには信者さんたちも優しく接してくださって、庭でのお茶会にも誘われたのですが、疲れていましたので辞退させていただきました。
明日帰国なので、おみやげのショッピングや私の眼鏡のネジが取れてしまったの眼鏡屋さんに行ったり、ランチをしたり・・・ホテルに戻り、夕方のオペラまで一休み。
♪~ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』
指揮:JULUS RUDEL 演出:MARTHE KELLER
ルチア:ANNA NETREBKO エドガルド:JOSE BROS ヱンリーコ:FRANCO VASSALLO
ライモンド:VITALIJ KOWALJOW アルトゥーロ:KRESMIR SPICER
アリサ:MARGARET THOMPSON
新人として華やかな経歴のスタートを切っていたネトレプコは勿論初めて聴きました。この少し前に日本公演(サンクトペテルブルグ・オペラ)があり、指揮者のゲルギエフと共に来ると大々的な宣伝だったのですが、ロサンジェルス・オペラで歌うので日本公演はキャンセル。この時から育ての親?だったゲルギエフとの共演は無くなりました。そういういきさつもあり、興味津々。人気公演なので良い席は取れず、2Fの後方席でした。
ビジュアル的にはとても綺麗(ウエストも折れそうなほど細い!)でした。歌唱はその姿にマッチした美しい声ですが、やや線が細い印象。エドガルドのブロスもこの後ヨーロッパで何度か聴きましたが、この時はまだ新人?5月にびわ湖ホールで聴いたばかりの同役のマルちゃんに比べてはいけませんね。
↓LOS ANGELES OPERA のプログラム(無料)
オペラ観劇はタクシーを飛ばしての往復でしたし、ロデオ・ドライブ以外は気軽に街歩きもできないロサンゼルスでした。Y子さんとご一緒でしたからなんとか観光も楽しめました。感謝しつつ就寝。
12/1(火)ロサンジェルス→
12/2(水)→成田→札幌
ロサンジェルスからは初めてのJALのビジネスクラス(Y子さんに合せて)。私はマイルがたまったので復路だけでした(汗)シートは勿論のこと、食事がエコノミーとは雲泥の差、豪華で美味でした。
翌春のロサンジェルスでの結婚式でお会いしましょう~!と成田でY子さんとお別れして、札幌に戻りました。
タグ:ロサンジェルス・オペラ