(19、20)パリ(サン・ドニ)&帰国 [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/9(土)パリCDG19:05~
帰国日ですが、飛行機が夕方出発なので時間はたっぷりあります。かねてから狙っていた北郊外のサン・ドニへ。パリのメトロは他も乗りましたが、このラインM13は初めてでした。雰囲気が矢張り違い、物騒なのかな?とやや緊張。それでもメトロ駅Basilique de Saint -Denisから地上に出るとそのような危惧もなく、明るい夏の日差しのなか賑やかです。お目当てのサン・ドニ大聖堂も徒歩ですぐ到達できました。
☆サン・ドニ大聖堂Saint Denis
サン・ドニという聖人のことを知ったのは、初めてクリュニー博物館に行った時のことでした。自分の首を携えた聖人の像がいくつも並んでいたのです。他の国や都市では見かけなかったので・・・。パリの守護聖人にもなったサン・ドニの伝説ではモンマルトルの丘で斬首された聖ドニが自分の首を持ってきた地に最初の聖堂を建てたそうです(4世紀末)。7世紀にメロヴィング朝最後の王ダゴベールⅠ世が教会堂を建立。その後はカロリング朝での盛んな活動を経て、1122年から院長になったシュジェールの優れた行政手腕により聖堂の大改修が行われました。それが最初の「ゴシック建築」になったのです。聖堂の建築史のなかでは最も重要な位置を占めています。
↓大聖堂の広場には花が飾られて
↓ 午前中の西正面ファサードは逆光なのです。
↓西正面中央扉口のタンパン
↓内部のステンドグラス
↓内陣
↓西方向
↓薔薇窓
サン・ドニの中世芸術は各地に広がりました。シャルトル、エタンプ、ル・マン、アンジェの各扉口の彫刻をはじめステンド・グラス、金属工芸、尖塔アーチなど。シュジュールの練り上げた芸術が12世紀の図像の主題にもたらした影響は計り知れません。
↓クリプト
↓この聖堂で一番古い部分は暗くてよく見えませんが、お棺が並んでいました。
この聖堂はフランス王家の墓所としても有名で、墓像彫刻が数多く収められています。クリプトよリこちらのほうが観光の目玉らしいです。
さて、いったん外に出て、ミュゼを探します。道路わきの看板に従ったはずですが、途中で迷いました。駅からちょっと離れただけで、中東系の人たちや店の並ぶ界隈になってしまいます。私のつたないフランス語も英語も通じない?というより逃げられてしまいます。そこへ小学生高学年くらいの長い衣の少年が歩いてきました。そして道案内をしてくれて、ミュゼにたどり着くことができました。「ありがとう~!!」
☆サン・ドニ美術と歴史博物館 (Musée d'Art et d'Histoire Paul Eluard de Saint-Denis)
↓正面
博物館は旧カルメル会の修道院跡ですが正面玄関は古代風です。
↓展示室にはサン・ドニ聖堂旧蔵のものも含めてロマネスクの彫刻が並んでいました。
↓中庭
メトロの駅までは徒歩約10分ほどで戻りました。駅周辺はモダンに再開発されたそうで、テラス席で遅くなったランチを済ませパリのホテルに戻りました。
そうそう、朝のチェックアウトの時エレベーターが故障していて、階段の上で立ち往生をしていると、大柄な黒人の女性(メイドさん)が運よく現れて、私の30K近い(当時はハードカバー)スーツケースを頭にのせて軽々運んでくれました。レセプションのお兄さんがパリで開催中の浮世絵の展覧会に行ったそうで、北斎や広重は素晴らしい!!とべた褒め。ヨーロッパの中でもフランスが一番日本の美術に詳しいし、傾倒していると実感しました。
預けていた荷物を受け取りCDG空港へ。JAL便19:05~
7/10(日)~成田13:55/18:30~札幌千歳20:05
機内で少し具合が悪くなりました。後から気が付いたのですが、飛行機に乗る前にビールやコーラなどを飲むと
胃の調子がおかしくなるのです。それから気を付けるようになりました。
そして、夜10時近くに札幌の我が家に舞い戻りました。
↓サルデーニャのお土産はからすみ(ボッタルガ)。家人に大好評で、娘はまた「サルデーニャに行ってきて!」って。サラダはウイキョウの代わりにセロリ。レモンとオリーブオイルだけで美味しい!
サルデーニャは治安が悪いと聞いていたのですが、イタリア本土とはまた違う素朴な人たちや島に点在するロマネスクの聖堂たち・・・独りで行けた!行ってって良かった!!
おまけに帰途ミラノ~ベローナ~ミュンヘン~パリとオペラも8演目制覇して大満足な旅でした。(終)
後記:15年も前の旅行記なので、記憶に残っていないのは仕方ないのですが、写真やスケジュール表のおかげでなんとか、記憶を振り絞って終わらせることができました。
これでパート2は完結しましたので、アクセスチェック 今日: 50 / 累計: 145,813でした。
(18)パリ [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/8(金)
サルディーニャから始まった長旅も明日は帰国日です。この日は先ずオルセー美術館の今まで見ていなかったアール・ヌーボーのコレクションから近代の絵画までを見学しました。サン・ミッシェル広場までバスで行き、それからセーヌ川に沿って2Kほど歩きました。途中ギャラリーや古美術屋が並んで・・・パリのハイソなストリートです。
さて、今回は今まで見てきた印象派などから離れて、未見学の部門から鑑賞しました。1996年のナンシー美術館、2004のブリュッセルのオルタを中心としたベルギーのアール・ヌーヴォーの建築を観てきましたので、これで一応アールヌーヴォー巡りの締めくくりになりました。
↓アール・ヌーヴォー時代の邸宅を模した室内に家具が展示されています。
↓壁にはボナールの絵
↓ナンシー派のガラス皿?
↓エミール・ガレの花瓶
同じフロアには19世紀後半以後に活躍した画家たちの作品が並んでいます。
↓ルドンの「マリ・ポトキンの肖像」1900 64×48
↓ホードラー タイトル不明
↓クノップフの初期の作品?
↓フェルナン・コルモン「カイン」の部分
↓全体図はNETから拝借 1880年400×700 旧約聖書のカインとその一族の苦難の旅が描かれています。
↓ホテルの部屋から見えた向かいに建つリセ。
夕方からは今回の旅の最後のオペラです。
♪~ケルビー二『メデア Medea』@19:30開演@シャトレ座
指揮:Evelino Pido? ? 演出:Yaais Kokkos
メデア:Anna Caterina Antonacci ジャゾーネ:Giuseppe Gipali
?ネリス:Sara Mingardo グラウチェ:Annamaria dell'Oste クレオンテ:Giorgio Giuseppini
オリジナルはフランス語版で『メデー Medee』ですが、近年はイタリア語の上演が多く、この公演も
イタリア語で上演されました。シャトレ座とトゥールーズのカピトール歌劇場との共同制作で、前年の公演も評判が良く楽しみでした。裏切った男に対する復讐としての子殺しという悲劇は『ノルマ』にも共通していますが、メデアは魔女として描かれているので、よりおどろおどろしい話になっています。アントナッチのメデアは期待にたがわず素晴らしいもので、役になり切ったアリアの数々やネリス役のミンガルドの健闘も光りました。昨夜のやや不満だった『つばめ』の何倍も良かった~。この旅の最後のオペラを感動のうちに締めくくることができました。
↓プログラムから
参考CD:Cherbini『Medea』ミラノスカラ座
マリアカラスがメデア役のCDは2枚出ていますが、私は購入していません。
↓1953ライブ盤
指揮:バーンスタイン 演奏:ミラノスカラ座管&合唱団
マリアカラス、ナーケ、バルビェリほか
↓1957年スタジオ録音(こちらのほうが音質良いらしい)
指揮:セラフィン 演奏:ミラノスカラ座管&合唱
カラス、スコット、ピラッツィーニほか
(17)パリ [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/7(木)
夜はオペラなので、あまり遠くには行けません。私のパリ定番のルーヴル美術館へ。ランチも館内で済ませ、書店で美術系の本を探すのも楽しいところです。
↓ボッティチェリの「レンミ荘の壁画」1480頃 1873年にフィレンツェ郊外のレンミ荘の開廊で発見され、剥離されてルーヴルに売却されたもの。大作なので気に行った部分だけ撮りました。
↓トゥーラの「ピエタ」(リュネット)ロヴェレッラ祭壇画のリュネットの部分。他の部分はロンドンやローマに分散。1474
↓マルコ・ゾッポ「聖母と奏楽の天使」1453~55頃
↓カルロ・クリヴェッリの「シエナの聖人?」の署名部分
↓カルパッチョ「聖ステパノの説教」部分。説教を聞く乙女たちのあどけない表情とヴェールで顔を隠した婦人をアップして撮りました。
↓ヤコポ・バッサーノ?ワインの収穫が描かれた絵画(主題は?)。片隅に試飲する子供の姿が可愛くてアップで撮りました。
↓ポントルモ「聖母子と聖アンナ」1529頃
↓モナリザの周辺は来るたびに混雑度は増すばかり。
今夜のオペラはシャトレ座です。ホテルからはメトロ一号線で2つ目.
♪~プッチーニ『ラ・ロンディーネ La Rondine』19:30開演@パリ・シャトレ座
指揮:Marco Armilliato 演出:Nicolas Joel
マグダ・ドゥ・シヴェリィ:Katie Van Kooten リゼッテ:Annamaria dell'Oste
ルッジェーロ・ラストゥク:Giuseppe Fillanoti プルニエ:Marius Brenciu
ランバルド・フェルナンデス:Alberto Rinaldi ペリショー:Frederic Caton
人気の高いプッチーニのオペラの中では知名度が低く(日本では「つばめ」、ゲオルギューとアラーニャ夫妻が歌い、CD(下記参照)になったことで有名になりました。当然この公演もご夫妻が歌うはず?でしたが、アラーニャの名前はなく当初クレジットされていたゲオルギューも降板。少々がっかりでした。筋書きは単調というか…時代が違うので仕方ないのですが、椿姫の純愛が欠けたドライな恋愛模様(現代的かも)。貞淑な妻になりきれない女の恋愛始末記ともとれるストーリーです。でもそこはプッチーニの抒情的なメロディ―が救いです。第一幕のマグダのアリアが聴きどころです。代役のKootonは背が高く歌もそこそこでしたが、急遽舞台に立ったので仕方ありませんし、ゲオルギューの華やかさにはかないません。フリアノーティはいつもの物足りない感じ。上映時間も短くささっと終わりました。舞台は19世紀末のチャールストン・スタイルのドレスが華やかで、アールデコ装飾も素敵でした。
↓プログラム(小さな燕が飛んでます)
参考CD:Puccini『La Rondeine』 EMI Records 1997
指揮:Antonio Pappano 演奏:Rondon Symphony Orchestra
キャスト/Angela Gheorghiu Roberto Alagna ほか
Patrizia ciofiがBianca/Gabriella 役で参加しています。
(16)ミュンヘン~パリ [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/6(水)
ミュンヘン10:10→チューリッヒ11:10/12:25→パリCDG13:50
Swiss Airのチューリッヒ乗り換え便が格安でした。でも乗り換えの案内板にはSwiss Airの記載はなく、ちょっと慌てました。ヨーロッパ間の格安航空券ではたまにこういうことがあります。
パリの宿はマレ地区にある初めてのホテルでした(現在は名前が変わっています)。Paris/Jardins de Paris Marais Bastille 3泊
このホテルはオペラ・バスチーユにも近く、以前泊まったいくつかのマレのホテルの近くです。いつも利用していた果物屋さんやカフェなどこの界隈にも慣れていました。レセプションのお兄さんも感じ良かったのですが、エレベーターが階と階の中間にあるので、スーツケースを運ぶのが大変なのです。それで以後は泊まることはありませんでした。
ホテルに着いたのが午後3時ごろでしたので、休憩と仮眠をとってお休みした後は夕食もかねて、バスでサン・ジェルマン・デプレへ。サン・シュルピス教会の前で降りて、何度か来ていますがついでに入ってみました。
今回は夏ですからまだまだ陽は高くまぶしいほどです。
↓内部のステンドグラスや祭壇
↓ドラクロワの壁画「ヤコブと天使の闘い」東壁@聖天使礼拝堂
↓「神殿を追われるヘリオドロス」の部分。西壁
久しぶりの日本食(お寿司)を食べて、↓サン・ジェルマン・デ・プレ教会を眺めてホテルに戻りました。
タグ:サン・シュルピス聖堂 パリ
(15)ミュンヘン [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/5(火)
この日の写真は一枚も残っていません。アルテとノイエの美術館に入り浸っていたのか?そして多分カメラの電源やカードが切れていて写せなかったのでしょう。美術館から帰途の電車を途中下車して、現代美術の新しいギャラリーを探して迷ってしまい、とても疲れてホテルに舞い戻った記憶だけが鮮明で、情けないです。
夕方から3夜連続の最後のオペラへ。
↓2005夏バイエルン州立歌劇場音楽祭 3公演のプログラム
♪~ヴェルディ『オテロOTELLO』19:00開演@Bayerische Sttatsoper
指揮:Zubin Mehta 演出:Francesca Zambello
オテロ:Jose Cura イャーゴ:Sergei Lriferkus カッシオ:Raymond Very
ロデリーゴ:Kevin Conners ロドヴィーコ:Maurizo Muraro モンターノ:Steven Humes
デズデモ―ナ:Barbara Frittoli エミーリア:Hannah Esther Minutillo
演奏:Bayerische Staatsorcheter&Chor
ヴェルディ最晩年の傑作「オテロ」は何度かオペラ鑑賞教室で観たこともあり、音楽的にも緊密度の高いドラマティックな傑作です。オテロはホセ・クーラ、デズデモ―ナはフリットリと申し分ないキャストでした。3年前にチューリッヒで観ていましたので、クーラはそこそこ頑張って歌いましたし、フリットリも美しく「柳の歌」にもほろりでしたが、イャーゴの悪の表現がいまいち。印象的だったのはカーテンコール、最前列でしたので、フリットリお姉さまに何やら叱られているクーラ弟でした。多分最後の接吻の場面(クーラが唾を飛ばして歌ったので?)が問題だったのでないかと推察。
翌日はパリに飛び、初観劇の「ラ・ロンドーネ」と「メディア」です。
タグ:バイエルン州立歌劇場 ミュンヘン
(14)ミュンヘン [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/4(月)
ホテルの本館まで朝ごはんに出かけるのが、すぐ道路を挟んで向かい側なのに面倒・・・。行ったり来たりしているうちに別館に若い音楽家たちも宿泊しているのに気が付きました。そのなかに日本人女性のオーボエ?奏者だった方と朝食時のテーブルが一緒になりました。「音楽評論家ですか?」と訊かれて舞い上がりました(汗)彼女はパリ在住でお仲間と管のグループ(現代音楽の)を結成。この音楽祭に出演しているそうです。演奏日がミュンヘンを離れる日でしたので、聴けませんでした。2005夏の音楽祭のパンフレットに載っていたのですが・・・紛失。彼女のその後はNETで確認(日本で演奏)できたのですが・・・お元気で活躍されていますように。
さてこの日の観光は初訪問のバイエルン州立博物館です。ホテルから徒歩で2k弱、20分ほどの距離です。
↓マキシミリアン通りから北へ抜ける途中にある広場。古い列柱とモダンなビル。
↓時々雨の降る日でしたが、途中の川でサーフィンの練習中。
☆バイエルン州立博物館BAYERISCHES NATIONAL MUSEUM)
↓建物はGoogle Earthから
中世からの美術コレクションや民族史の博物館ですが、あまり知られていないようで、見学者もまばら。大きな建物なので迷子になりそうでしたが、観たいものはしっかり観てきました。
先ずは中世のキリスト教美術の部屋から。お目当てはロマネスク期の彫刻です。
↓ゴシック期の部屋に移る前に名残惜しくパチリ
↓照明を落とした暗い部屋に中世の織物が並んでいます。その中で目が点になったのが
なんと!一角獣が「受胎告知」の聖母マリアに甘えてる~。この図像は初めてでした。帰国後調べたところ、伝説の動物一角獣は「馬に似るが性格は荒々しく、処女の懐で初めて温順になると伝承されたため、純潔の象徴聖母マリアの受胎告知や降誕の場面に組み合わされた」そうです。
↓ドイツの後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーの傑作が並ぶ部屋は圧巻でした。
マグダラのマリア(エジプトのマリア?)と天使たち。
↓
↓この手に目が釘付け
↓中世末期の彫刻
ドイツの骸骨はおどろおどろしい。
ここまでで疲労困憊。また元の道を辿って、ホテルに戻りました。夕方からはグルベローヴァさまのオペラです。
彼女のファンがイタリアからも来ていて、私が鉄道で来たと言ったらびっくりしていました。ヴェローナから飛行機があるとか言ってましたが?
♪~ドニゼッティ『ロベルト デヴリューRoberto Devereux』19:00開演Bayerische Staatsoper
指揮:Friedrich Haider 演出:Christof Loy
エリザベッタ:Edita Gruberova ノッテンガム公爵:Albert Schagidullin ノッテンガム公の妻 サラ:Jeanne Piland ロベルト・デヴリュー:Zoran Todorovich セシル伯:Manolito Mario Franz
演奏&合唱:バイエルン州立歌劇場管弦楽団&コーラス
「アンナ・ボレーナ」と「マリア・ストゥアルダ」と並んでドニゼッティの女王3部作とのことですが、この「ロベルト デヴリュー」は他の2作ほどの人気がなく、上演されるのも珍しかったのでは?予習用の音源や映像がテに入りませんでした。後にこの2005年の公演はDVDになりました。
グルべさまの渾身の歌唱と演技には圧倒されました。ロイの演出は衣装や背景もチューダー朝の宮廷とは異なり、背広やスーツ姿でグルべさまは大会社の会長の貫禄。愛憎いろいろあって、最後のシーンは衝撃的!王冠も金髪の鬘ウィッグもかなぐり捨てての老婆スタイル。。。その鬼気迫る絶唱は忘れられません(席も最前列でしたので目の前)。現代にもままあるワンマン経営や後継者問題もからめて普遍的な表現は秀逸と思いました。
↓参考映像/ドニッゼッティ『ロベルト・デヴリュー』2005のバイエルン州立歌劇場での収録
(13)ヴェローナ~ミュンヘン [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/3(日)ヴェローナ9:01→ミュンヘン14:28
ミュンヘン/Hotel an der Oper 3泊
ヴェローナから北へ。トレント~ボルツァーノ~ブレンナー峠を超えるとオーストリアです。インスブルックを経て南ドイツ・バイエルンのミュンヘンに到着。鉄道の旅は長くてもあまり気になりません。道北の故郷の町から東京まで(途中青函連絡船で一泊)何度も行き来して、汽車の旅に慣れているのでしょう。
ミュンヘンの宿はオペラ劇場に至近距離ですし、前回3年前に友人たちと泊まったところです。ところが今回は道路を隔てた別館?に案内されました。しかも暑いのにエアコンなしなので、扇風機(涙)
↓ホテル近くの広場で昼夜兼用の食事。3年前より賑やかになって、和食レストランもオープン。早速天ぷらをいただきました。ドイツ人のお客さんたちの箸の使い方が上手でびっくり!
このPlatzl広場からマリエン広場まで散策。途中に人気が爆発中のネトレプコの大看板を見かけました。
マリエン広場はミュンヘンに来ると必ず寄っています。ちょうど人形が回りだす時間でした。広場は観光客で大賑わい。
この近くの路上カフェでコーヒータイム。ロサンジェルス郊外に住んでいる次女にメールすると、4月に生まれた孫娘の写真が送られてきました。
ホテルに戻り仮眠をとって、着物に着替えて、徒歩で1~2分のバイエルン州立歌劇場へ。
♪~ヴェルディ『ファルスタッフFalstaff』18:00開演@Bayerische Staatsoper
指揮:Zubin Mehta 演出:Eike Gramss
ファルスタッフ:Ambrogio Maestri フォード:Zeliko Lucic ファントン:Rainer Trost
ドクター・カイウス:Ulrich ReB バルドルフォ:Anthony Mee ピストラ:Anatoli Kotscherga
アリーチェ:Anja Harteros ナンネッタ:Chen Reiss クイックリー夫人:Marijana Lipovsek
メグ・ページ夫人:Ann-Katin Naidu
オーケストラ&合唱:バイエルン州立歌劇場管弦楽団&コーラス
?3年前に同じ演出の舞台を見ていましたが、今回は配役は変わっていました。 この時が初めてのマエストリやルチッチ、ヘルテロスの新鮮味あふれる舞台でした。アリーチェ役のヘリテロスは3年前の圧倒的歌唱にしびれたダニエラ・デッシーと比べるといまいちでしたが、ミュンヘンの大型(背も高い!)スターに相応しい熱烈な賞賛を浴びていました。マエストリの巨体演技と安定の歌唱は素晴らしい。
オペラがはねた後外のカフェに居ましたら、マエストリが通りかかりました。近くの人たちが声をかけて、皆で改めて拍手をすると、嬉しそう・・・舞台で観るほど巨体ではなく、やや肥満体の中年男性って感じでした。
ミュンヘンの夏の音楽祭は人気があります。日本人のツアーや個人で観劇の方たちも多く、特に最終公演がワグナーなので、それに合わせたチケットはとりにくくなりました。
タグ:バイエルン州立歌劇場 ミュンヘン
(12-2)ヴェローナ [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
~続きです。
さてカステルヴェッキオを後にてくてく、真夏の西日を受けながら歩きサン・ゼノへ。地図の通りに川に沿った道を歩いたのですが、途中で迷って、
↓教会の裏の道に入ったので、すぐそこに見えても・・・
結局ぐるっと一周してようやく到達。噴き出る汗・・・。
☆サン・ゼノ・マッジョーレ教会San Zeno Magiore
↓正面
イタリア・ロマネスク建築の傑作と言われ、ヴェローナでもアリーナと並んで素晴らしい見どころとなっています。
↓ファサード中央の柱廊式玄関
以前扉口を飾っていたブロンズの扉(ニコロの浮彫1138年)は内部の扉裏側に保存されています。
↓旧約聖書のヘロデ王の場面(洗礼者ヨハネの首)。サロメの宙返りダンスとしても知られています。
パネルは24枚ありますが見学者も多く、じっくり見られませんでした。
↓内部は三廊式。
↓クリプト
クリプトの上は内陣になっていて、主祭壇にマンテーニャのパドヴァ時代の祭壇画(1455-59)が飾られています。18世紀末にナポレオン軍によってフランスに持ち去られましたが、1815年に返還されました。ただプレデッラだけはそのままフランスに残されています。そのうちの一枚はルーヴル美術館にあります。プレデッラといえども大作(67×93)で驚いた記憶があります。
↓マンテーニャ「サン・ゼーノ祭壇画」カメラ禁止でしたのでNET から拝借。
中央:玉座の聖母子と9人の天使/220×115
左右:聖人たち/それぞれ220×115
↓回廊(12~14世紀)
広い敷地に聳える二本の鐘楼はそれぞれ11世紀~12世紀のもの(写真)と13世紀~14世紀(改修中)のもの。
↓Google earthから
バス停も近かったのですが、経験からあまり時刻表は当てにならないので、徒歩でなるべく静かな路地をたどりホテルに戻りました。
↓途中の民家に青いリボンの飾り。男子が誕生したというお知らせ「生誕のリボン」さすがロミ・ジュリの町
今夜のアレーナのオペラは9時開演なので、7時ころまで仮眠ができました。夕食はアレーナのブラ広場に並んでいるブッフェ形式のレストランで前菜をあれこれいただくとおなかがいっぱいになりました。
♪~ポンキエッリ『ラ・ジョコンダLa Gioconda』21:00開演@Arena di Verona
指揮:Donato Renzetti? ? 演出:Pier Luigi Pizzi
出演者:Andrea Gruber,Marco Berti ,Alberto Mastromarino , Carlo Colombara他
演目の名前とあらすじだけで、予習もなくぶっつけ本番でしたが、古代の闘技場が舞台にふさわしい大きなスケールで進行。イタリアオペラの良さが存分に発揮されたオーソドックスな舞台でした。この公演は評判が良かったので、後日DVDになっています。ジョコンダのアリア「自殺」と劇中のダンス音楽「時の踊り」は特に有名ですね。
↓リーフレットから
この日は暑さと疲れで泥のように眠りました。明日はイタリアからドイツまで列車移動します~。
(12-1)ミラノ~ヴェローナ [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/2(土)Milano11:05→Verona12:35
ヴェローナ/Hotel Mastino 1泊
ロンバルディアからベネトへ列車移動しました。ヴェローナは到着したホームにエレベーターが完備されていて、助かりました。駅からは「そのホテルは歩いても近いよ」というタクシーに荷物重いからといって連れて行ってもらいました。この時期はヴェローナは観光客でいっぱいです。必然的にホテルもお高いので、旧市街の外にようやく3☆の宿を見つけ、確か1泊1万円くらいで予約しました。Arena円形劇場にはホテルのすぐ近くのブラの門をくぐると同名のブラの広場という近さで、今夜のオペラのはねた後でも安心です。ホテルの部屋は暗くて狭いシングルでした。ランチはホテルの近くでパニーニを食べて、早速観光に出かけました。ヴェローナは1991年、1997年と2回来ていましたが、ツアーでしたので、私的には肝心のカステルヴェッキオ美術館とロマネスク様式のサン・ゼノ・マッジョーレ教会を観ていませんでしたから・・・そして、ついでに夏のヴェローナのオペラ観劇も楽しめます。チケットは当日券を購入できました。
カステルヴェッキオCastelvecchioは13世紀に建てられた煉瓦造りの要塞城です。東側の市立美術館の門をくぐると広い中庭があり、入館。チケット売り場からはすぐ、この近辺の教会から集められた中世の彫刻が並んでいます。
↓祭壇?
ここでの最大の目的はカルロ・クリヴェッリです。上階の展示室まで急ぎ足で到達~ハアハアしつつ巡りました。残念ながら光が反射して写真は失敗しましたが、画架にかけられた展示なので、油彩の艶々した輝きの効果が素晴らしい作品です。「受難の聖母」(聖母子と受難の象徴を持つプットー)1460頃71×48
↓マンテーニャ「聖家族」1500頃72×55
マンテーニャ?
↓カルロの弟ヴィットーレ?
↓照明を落とした暗い特別室に展示されていたピサネッロの「鶉の聖母」1420頃50×33
写真は失敗したのでnetから拝借しました。
↓美術館から見えたアディジェ川にかかるスカリージェロ橋
↓サン・ゼノ・マッジョーレ教会の遠望(あら、鐘塔が改修中)
大層複雑な建築構造なので、かなり迷いながらの美術鑑賞になり疲れましたが、気力でゴー 続きます~。
(11)ミラノ [2005年夏サルデーニャ・ロマネスクとオペラ]
7/1(金)
この日は朝食後、徒歩でダンテ大通りを15分、1Kくらいのスフォルツェスコ城Castello Sforzescoに行きました。ここは初回はツアー(1991)、2回目は友人たちと(1998)訪れていましたが、中世彫刻と絵画館を見ていなかったので再訪しました。城門の前に噴水があり、若い男女がたむろしていて、こちらを見て何か言っています。目を合わさないようにして通り抜けましたが、ちょっと怖い雰囲気でした。イタリアでは私が鈍いのかあまり嫌な目に合っていませんでしたので、記憶に残っています。以前すりの被害にもあっていますし、ミラノは気の抜けません。
さて、中世彫刻の展示室へ。↓ロンバルディア・ロマネスクの教会堂から移された柱頭彫刻やレリーフが多数。
奥に進むにつれ時代がゴシックに替わっていきますので、この辺でお終いにしました。
絵画館は改装中だったのか、この日は観れませんとのことで、ドゥオーモ近くのメルカンティ広場まで戻りランチ。
↓メルカンティ広場の騎馬像(アンテラミ作13世紀)
狭くて細長い広場ですが、ホテルからスカラ座に抜けるときや、この広場の名前の付いたレストランを利用することが多かったので、なじみの場所になりました。
↓ホテル正面
ホテルに戻って午睡の後、スカラ座へ。
♪~ロッシーニ『La Cenerentola チェネレントラ』20:00開演@ミラノ・スカラ座
指揮:Bruno Campanella 演出:Jean-Pierre Ponnelle
ドン・ラミーノ:Juan Diego Florez ダンディーニ:Roberto de Candia チェネレントラ:Joyce di Donato
アリドーロ:Mark Steven Doss ドン・マニフィコ:Simone Alaimo クロリンダ:Jeannette Fischer
ティスべ:Tiziana Tramonti
オーケストラ&コーラス:スカラ座管弦楽団&合唱団
ぺーザロのロッシーニ音楽祭で収録された映像をオペラ鑑賞会で観ていたこともあり、期待大の演目でした。ロッシーニの難しい技巧を完璧にマスターしたフローレスの歌唱に加えてディドナートのチェネントラといえば文句はありません。ですが私のサルデーニャ帰りの疲労が残っていたのか?期待が大きすぎたのか、いまいち感動の波が襲ってこなくて…しょんぼりでした。演出など、細かいこともほとんど記憶に残っていません。何年か前にTVで観たペーザロでの公演が素晴らしかったので(下を参考)、なぜか寂しい思いでホテルに戻りました。
↓プログラム
参考映像:ロッシーニ『ラ・チェネレントラ』
指揮:カルロ・リッツィ 演出:ルカ・ロンコーニ
フアン・ディエゴ・フロレース(ドン・ラミロ)
ロベルト・デ・カンディア(ダンディーニ)
ブルーノ・プラティコ(ドン・マニフィコ)
エカテリーナ・モロゾワ(クロリンダ)
ソニア・プリーナ(ティスベ)
ソニア・ガナッシ(アンジェリーナ(チェレネントラ))
ニコラ・ウルヴィエーリ(アリドーロ)
ロベルト・デ・カンディア(ダンディーニ)
ブルーノ・プラティコ(ドン・マニフィコ)
エカテリーナ・モロゾワ(クロリンダ)
ソニア・プリーナ(ティスベ)
ソニア・ガナッシ(アンジェリーナ(チェレネントラ))
ニコラ・ウルヴィエーリ(アリドーロ)
演奏:ボローニャ管弦楽団
2000.8 ペーザロ・ロッシーニ音楽祭にて収録。TVにて鑑賞