(7)パリ~ボローニャ [2003春パリからベルリンへの旅]
(6)パリ [2003春パリからベルリンへの旅]
指揮:William Christie 演出:Robert Carsen オーケストラ:Les Arts Florissants
ALPHISE:Barbara Bonney SEMIRE:Anna Maria Panzarella POLYMNIE:Jael Azzaretti
ABRIS:Paul Agnew CALISIS:Toby Spence BOREE:Laurent Nauri BORILEE:Stephane Degout
ADAMAS/APOLLON:Nicolas Rivenq
バロックは大好き!クリスティも前年、札幌まで来てくれて、素晴らしいヘンデルのメサイアを聴かせてくれましたから、楽しみでした。
幕が開くと黒い舞台に平面に植えられた花畑がいかにもフランス庭園風。演出はカーセンなので、シンプルモダンな色彩感覚が印象的。ギリシアの神話の恋愛劇を自然の雨や風を背景に、ストーリーが展開していきます。演出は正直理解不能の面もありましたが、それをあれこれ考えるよりも優雅な心地よさを伴った音楽にうっとり。そして、時折バロック演奏では先端を行くような響きにも感動でした。またコンサートマスターの黒崎さんがオペラ仲間の友人の息子さんということもあって、素晴らしい弦楽器の響きに大拍手。
歌、管弦楽、バレエ(なんといってもガルニエ!!)、そして演劇的要素がほどよく散りばめられた優れた舞台でした。予習していればより深くフランスバロックを愉しめたでしょう。それが心残りでした。
(5)パリ(オルレアン~サン・ブノワ・シュル・ロアール) [2003春パリからベルリンへの旅]
中に入ると観光客は私だけ。管理人さんらしい人が居て私が入っていくと嬉しげな様子で英語で説明してくれました。見るべきものはフランスではとても希少とされるラヴェンナの工房による後陣天井の円蓋モザイク。写真↓ではハッキリしませんが、ラヴェンナのクラッセ教会に似たところは神の手が中央に配置されていること。建築には詳しくないのですが19世紀の改築が上手くいかなかったらしいのです。オリジナルはロマネスクより古いカロリング朝の集中形式といわれ希少価値だったと管理人さんも残念そうでした。
ロワール川沿いの小さな村に佇む教会は鐘楼玄関を持ち堂々とした姿で建っています。鐘楼玄関は2層になっていて、合計100を超える柱頭彫刻で埋められた素晴らしい空間です。吹き晒しなので外部に近いほうはかなり傷んでいますが、一千年に近い歳月を考えるとこれだけキチンと残っているのは奇跡のようにも思えます。
内部は修道院として今も立派に機能しているので、僧服の修道士さんの祈る姿もあり、敬虔な雰囲気を持っています。地下のクリプトはこのとき閉鎖され見学できなくて残念でした。
(4)パリ [2003春パリからベルリンへの旅]
指揮:Vladimir Jurowski 演出:Willy Decker オーケストラ:Opera National de Paris
MADAM LARINA::Alexandrina Miltcheva TATIANA:Olga Guryakova
OLGA:Marina Domachenko FILIPIEVNA:Ilina Tchistiakova EUGENE ONEGUINE:Vladimir Chernov LENSKI:Piotr Beczala LE PRINCE GREMINE:Gleb Nikolsky MONSIEUR TRIQUET:Michel Senechal
高校生のときチャイコフスキーでクラシックに目覚めたわりにあまり熱心ではなかったのですが、このオペラを1度オペラ講座で聴いてから、またチャイコフスキー贔屓になりました。(笑)
このオペラもパリ滞在中に観られるとあって、嬉しくてホクホクしながらバスチーユへ。
指揮のJurowski は初めて聞く指揮者でしたが、見事な演奏でした。野生的な風貌も素敵な方です。すでにグラインドボーン音楽祭でも振っていて、これからの活躍を大いに期待されます。
ロシアの哀調を帯びた美しいメロディ、流麗なダンス曲など息つく暇もないドラマティックな展開に、心奪われました。
歌手陣はタイトルロールのキーンリーサイドがキャンセル(またか~涙)でチェルノフ。やや弱かったけれど健闘していましたし、ほかは大好きなGuryakovaをはじめ、ほぼ完璧といっていい演奏。LENSKIの Beczalaはデビューしたばかりの期待のテノール。死を前にしたアリア「クダ クダ~」は絶品でした。
演出も場面展開がスムーズで、感情移入しやすく、衣装も洗練されていて、うっとり。
↓プログラム
参考映像:チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』 収録:1994年7月 グラインドボーン・フェスティバル・オペラ
参考CD:TCHAIKOVSKY『EUGENE ONEGIN』1993年収録 指揮:SEMYON BYCHKOV オーケストラ:パリ管弦楽団 Tatyana:Nuccia Focile Olga:Olga Borodina Onegin:Dmitri Hvorostovsky Lensky:Neil Shicoff Prince Gremin:Alexander Anisimov
隣席のシニアの女性はロンドンからのDomachenkoの追っかけの方。ロンドンはチケットが高価なので、パリはいいわ~とのこと。ロンドンにはいつ行けるかしら・・・。 |
Kさんとは4人置いて同列の席になり、休憩も一緒に楽しくおしゃべり。終演後もバスティーユ広場に近い有名店Bofignerで生カキや豚の足など美味しくいただいて、またもや1時過ぎまで夜遊び。この夜は週末のうえイースター休暇に入ったところで夜中でも人通りも多く、危ない感じも全くなくのんびり宿に戻りました。
(3)パリ [2003春パリからベルリンへの旅]
指揮:Bruno Campanella 演出:Francesca Zambello オーケストラ:Opera National de Paris
MATHILDE:Hasmik Papian JEMMY:Gaele le Roy HEDWIGE:Nora Gubisch
ARNORDO:Janez Lotric UN PECHEUR:Mathias Zachariassen RODOLPHE:Valerij Serkin
GULLAUME TELL:Thomas Hampsom WALTER:Wojtek Smilek MELCHAL:Alain Vernhes
このときのBさんの現地新聞情報によりますと、パリでの評判はあまり良くなかったようです。白木の小屋や木々がイケアの家具のようだとか・・・確かに。しかし、ハンプソンは立派との評でにっこり。ハンプソンは最終公演ということもあって頑張って歌いました。
大好きな前奏曲も素晴らしい演奏でわくわくしながら観ていましたら、私の数列後方で「オーレ!オーレ!」の野次。次第にその声も大きくなり、周りが静止しても聞き入れません。それで小休止のとき、数人の係員に連れ出されました。周りは良かったと拍手(私も)
わざわざ遠くからやってきて、喜んで見ている私にはまったく理解不能。メーワク男め!
4年ぶりのNora Gubischは安定した歌唱。Hasmik PapianとJanez Lotricもまあまあ。マチルデとアーノルド、それぞれのアリアは大好きですが、引き込まれるまでの魅力はありませんで、残念。
(2)パリ(ポワチエ&ショゥヴィニー) [2003春パリからベルリンへの旅]
初めてTGVの予約をネットでしてきたので駅の自動販売機で引き取るのですが、簡単なことでミスをし、ギリギリでホームへ。飛び乗った列車はまもなく発車。やれやれ・・・しかし、次ぎはポアティエというアナウンスに頭が一瞬真っ白に・・・同じホームの左右の列車を間違えたのです。ポワティエといえば数年前にツアーで訪れ、サンサヴァンとの間のショウヴィニィには寄らなかったちょっと口惜しい想い出がありました。だから立ち直りは我ながら速かったのです。(自慢にもなりませんが)
パリ・モンパルナス12:15→ポワチエ13:42
ラヴァルダンに行かれなかったはホントに残念でしたが、またの機会もあるでしょうと気持ちを切り替えました。車掌さんが切符拝見に来たので、ヴァンドームより1時間も多く乗るし差額を払うと申し出たのですが、こんなご時勢に(イラク戦争が始まったばかり)日本のおばさんの一人旅を感心に?思ったのか(計算が面倒だったのか?)サービスしてくれました。
乗車前に駅で買ったサーモンとクリーム・チーズの黒パンサンドがこの日のランチ。
ポワチエに着いたのはすでに午後2時近くになっていました。とりあえず駅前からタクシーでノートルダム・ラ・グランド教会へ。この広場の(i)でショウヴィニィ行きのバスの時刻を確認。係りの女性は「今夜はショウヴィニィに泊まるの?」、私「パリに帰る」と答えたら目を丸くしていました。日本のおばさんは元気なの~。4時半ごろ駅前を出発すると、7時半すぎに帰着のバスがあり「ホッ!!」。
ショウヴィニィへ行く前にポワチェの3カ所の聖堂を見学できました。
街角で偶然見つけた小教会。ここも古い歴史があります。ポワティエの名刹聖チレール教会の参事会教会としてカロリング時代に創立。11世紀にはベネディクト派の修道院になりました。16世紀の改築を経て、19世紀には道路を広げるため塔を壊すという案があったのですが、多くの市民の反対で生き延びたそうです。。目抜き通りをカーブする角地に建ち、古都ポワチエのランドマーク的存在となっています。
時間も限られていますので、サン・ジャン礼拝堂や美術館は見学できず、その近くのゴシックの大聖堂へ向かいました。
↓壮大なカテドラル。薔薇窓や扉口の彫刻がさすがに美しい。
さてなんとかポワティエの駅前広場からバスに乗り込み、40分ほどでショウヴィニィの丘の麓の街に到着。
帰りのバスの乗り場と時刻も再確認。2時間弱の見学時間があることが判明。これならそう慌てなくても済みそうです。
バス停のある広場の薬局と役場の間に「中世の街へ」の看板があり、
↓まもなく丘の上のサン・ピエール教会が見えてきます
道案内では遠回り?だったかもですが、それに沿って静かな住宅街の石畳を歩いて丘を登って行きました。この日は15度くらいの気温でしたが、村にはこぶし、桜のようなピンクの花、リラ、藤の花が咲き乱れていました。
結構傾斜のきつい坂道を含めて15分くらいで丘のうえの旧市街に到着。午後も遅いので出会った観光客も数えるほど。城壁がみえてその一部残ったような城跡も見学できるようになっていたのですが、パスして隣りのサン・ピエール教会へ。
ところが内部はあいにく教会は内陣の修復中。でも2人くらいの工事の人も図々しいおばさんひとりを黙認してくれて、遠慮がちながら無事見学できました。さすがに写真は1枚しか撮れませんでしたが、工事中立ち入り禁止の貼り紙もあったのに、有難いことでした。
☆サン・ピエール教会Saint piere di Chauvigny
12世紀の後半の建設とみられますが、身廊部分は華やかに白地に赤く模様が塗装されているのがユニーク。それ以上に驚かされるのは後陣の周歩廊に沿った柱頭彫刻。怪奇な幻想の世界がロマネスク。
↓プラン
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↓周歩廊の柱頭彫刻の配列
↓かの有名な白と錆朱色に彩色された柱頭彫刻が並んでいて、いかにもロマネスクな怪物が舌を出したりしているます。
↓ヨハネの黙示録の「バビロンの妖婦」(教会のHPから拝借)は盃ととっくりを手にして踊っているようにも見えます。
とっくりを持つという描写は黙示録にはないので、彫刻家の想像で加えられたものと考えられます。天井付近はシートに覆われていましたし、足場も組まれ不安定で、全体は良く確認できなかったのですが、後陣の柱頭群は低い目線にあり観察しやすかったのは良かったです。
↓北側面
↓猫たち
サン・サヴァン、ポアティエとここは距離的にあまり離れていないのですが、それぞれが個性的で魅力な彫刻や壁画で彩られています。ロマネスク詣でには欠かせないゾーン。教会の前は小さな展望台になっていて、素晴らしい眺め。
下の街に降りるとすでに薄暗く夕方です。バス停近くに建っている教会は詳しくは不明ですが一部ロマネスク様式です。
広場に面したパン屋さん(ケーキもつくっている)も兼ねたサロン・ド・テで、杏のパイ(美味しい!!)を食べて休憩。定刻より早く着いたバスに慌てて乗り、帰りはノンストップでポワティエヘ。この路線バスはサン・サヴァンへも行く便があるので、ポワチエから両教会を一日観光で、個人でもゆっくり訪れることができると思います。(現在はバスの便も限られるようですが)
ポアチエ19:51→パリ・モンパルナス21:35
TGVで戻りましたが、パリのモンパルナス駅に到着したのは夜10時近く、この夜は特に冷え込んだパリは零度まで下がり、寒くて慌ててタクシーでマレのホテルに帰りました。ホテルは暖房がよく効いていて、寒がりの私には大助かり。まだ旅の2日目ですが長い一日でした。