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(7&8.9帰国)ニューヨーク [2002春NYオペラと美術の旅]

4/20(土)


↓ホテルの窓から。今日で7日目ですが、次第に天候が崩れてきました。

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 今日で7日目ですが、次第に天候が崩れてきました。こちらに来てからやむを得ず購入した夏服やミュージアムで重い本やカタログも買ってしまったので、スーツケースに収めて国際宅急便で送ることにしました。クロネコヤマトのNY支店から日本人社員がホテルまで来てくれました。収め切れなかったものは五番街のデパートに出掛けて、ロンシャンの中型のソフトカバーのスーツケースを購入してホテルに戻りました。


今日のオペラ『ルル』はマチネで13:30の開演です。13:00にホテルを出ると雨になってきて、ますます涼しくなってきました。

♪~アルバン・ベルク『ルルLULU』


指揮:J・レヴァイン  演出:ジョン・デクスター

ルル:クリスティーヌ・シェーファー  ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:ハンナ・シュワルツ  シェーン伯爵:ジェームス・コートネイ  アルヴァ:ディーヴィト・クーブラー  画家:クリフトン・フォービス  猛獣使い:ステファン・ウエスト  シゴルヒ:フランツ・マツーラ


4公演を終えて一番印象に残ったのがこの『ルル』。レヴァインも『ファルスタッフ』とは違い、とても気合いが入っていたようだ。一度「ウォー!」と唸ってオケを煽っていたのを目撃した。(^^;)
席はオーケストラ席3列の右寄り、この夜が人気の『ファルスタッフ』とあって、空席が4公演のなかでは一番目立っていた。
さてシェーファーのルル、声量がないとの噂もあり、メトは大劇場なので不安だった。でも実際に聴いてみると、透明な素晴らしい声にドイツ語の発音が絶妙に調和し、なんともいえないたおやかさ、なまめかしさを感じた。プロローグでの猛獣使いに肩車されてあらわれたピエロの衣裳の彼女、「オーッ!」とどよめきが起きたほどの美しさだった。
舞台はいままでの空間全体を使った豪華なものではなく、黒い背景にそれぞれのシーン毎の部屋を舞台中央にこじんまりと配置。まるで闇に囲まれたルルのはかない運命を表しているようだった。小柄で細く美少女のようなシェーファーはルルの娼婦的なイメージとは多少違って見えた。男を惑わす魅力を生まれながら身につけてしまった少女が真実の愛を求めてさまよい転落していくドラマ・・・普遍的に女のなかにひそむ魔性をルルを通して音楽として語られているように感じた。ルルの抗しがたい魅力は13場、劇場の楽屋のシーンで語られた。ダンサーの扮装であらわれたルルを見てその美しさにアルヴァが息をのむ場面。まるでサロメのように透けるチュールを全裸?(に見えた)にまとい花輪の冠のルル、この前日見たばかりのメトロポリタン美術館のバルテュス「暖炉の前の裸婦」が目に浮んだ。絵画では幼さの残る少女の裸婦でしたが、その原初的な妖しい美に満ちたその姿・・・清潔感のあるシェーファーの美しさが際立って。伯爵令嬢役のHanna Schwarzメゾ(最後の絶唱が素晴らしかった)をはじめ共演の歌手達もこなれた歌唱、演技で大満足。
ベルクは実際に娼婦とおつき合いがあったとか、愛人がルルのモデルだったとか聞いたことがある。求めるものと求められものの違い、苦悩する男と女の「愛」を表現したオペラなのか、胸にズシンとくるものを抱えながら劇場をでると、この日から急に涼しくなったNY、リンカーンセンターの付近はマチネと夜の公演の観客が交差し混雑していた。(マイHPから転記)


↓夕食の前、ホテルのロビーで

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 夕方6時半には終演、夕食はタクシーでマンハッタン南にあるチャイナタウンへ。上海ガニの並ぶ海鮮料理店に入るとほとんどは地元の中国人でほぼ満席。がやがやわいわい、カジュアルな雰囲気のなかで美味しい中華料理をいただけました。ビール、クラゲの前菜、スープにメインは3種の貝と野菜のお皿。残ってしまったチャーハンはパックしてお持ち帰り。夜は相当涼しくなり、明日からは平年並みになるとのこと。


参考DVD:ALBAN BERG『LULU』 1996年グラインドボーン音楽祭で収録


指揮:アンドリュー・デイヴィス   演出:グレアム・ヴィック


ルル:クリスティーネ・シェーファー  ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:キャスリン・ハリーズ

シェーン博士/切り裂きジャック:ヴォルフガング・シェーネ   衣装係/馬丁/学生:パトリシア・バードン   支配人/銀行員/医事顧問/教授:ジョナサン・ヴェイラ    画家/黒人:シュテファン・ドラクリッヒ   アルヴァ:デヴィッド・クエブラー   シゴルヒ:ノーマン・ベイリー 

猛獣使い/力業師:ドナルド・マックスウェル  王子/下男/侯爵:ニール・ジェンキンス


オーケストラ:ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団


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参考CD:ALBAN BERG『LULU』 1979パリオペラ座ライブ録音


指揮:ピエール・ブーレーズ   演出:パトリス・シェロー   オーケストラ:パリオペラ座管弦楽団


ルル:テラサ・ストラータス  ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:イヴォンヌ・ミルトン   シェーン博士/切り裂きジャック:フランツ・マツーラ   衣装係/馬丁/学生:ハンナ・シュワルツ   警部/医事顧問/ジゴルヒ:トニ・ブランケンハイム   画家/黒人:ロバート・ティアー   アルヴァ:ケネス・リーゲル  
猛獣使い/力業師:ゲルト・ニーンシュテット  王子/下男/侯爵:ヘルムート・パンプフ 
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4/21(日)

10時半にチェックアウト。タクシーでJFK空港へ。日曜日なので渋滞もなく早めに到着。免税店でカルフォルニャのナパバレー・ワインを2本、ゴディバのチョコレートなど調達。帰りも機内ゲームで遊び、娘に良く寝ないで頑張るね~と冷やかされるほど・・・恥。札幌の自宅には夜10時半ごろ帰着。


この時の旅は円安で135円のときだったので、NYの物価はとても高く、特にホテル代、食事代は大幅に予算超過。その上季節外れの暑さで買ってしまった洋服代も痛い出費でした。でも航空券は夏のヨーロッパ行きの半額、チケット代は2番目に良い席で155ドル(土、日曜日190ドル)、東京公演では考えられない良い席に座り、豪華な大舞台や一流の歌手たちのパフォーマンスを堪能。真夏のように暑いN.Yでしたが母娘で元気にせっせと美術館も制覇し、充実した旅ができました。

2か月後に友人同行のヨーロッパ行きが控えています。お財布のひもを締めなくちゃ~。





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(6)ニューヨーク [2002春NYオペラと美術の旅]

4/19(金)

 やはり気温が下がり(最高気温25度くらい)過ごしやすくなりました。今日はオペラのない日、計画通りNY市内でもマンハッタン北(190th)にあるメトロポリタン美術館別館の「The Cloistersザ・クロイスターズ」へ。まずはグッケンハイム美術館を訪問しました。

☆グッケンハイム美術館(初)

鉱山王だったソロモン・R・グッケンハイムの財団によって運営されている近現代美術専門の美術館です。

  ↓カタツムリ型のユニークな建物(絵葉書)はフランク・ロイド・ライトの設計。

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入館すると広い吹き抜けのホールになって、それを巡るように緩やかなスロープの展示室になっています。この日は大きな特別展「BRAZIL BODY&SOUL」があり、巨大できらびやかな祭壇がホールを飾っています。彫刻も多数展示されていて、スペインの影響が強くうかがわれるものが多かったように記憶しています。撮影は禁止だったこともあり、細部はすでに忘却の彼方・・・。ここのパーマネント・コレクションもこの特別展のため、平常より展示品は少なかったようです。


なかでも印象に残った一枚は幼い日を思い出させました。まぶしいほどの晴れた朝、積もった雪に冷たい空気、かじかんだ手、ゴム長靴の足元・・・。

↓マレーヴィチ「降雪後の村の朝」(1912)80.7×80.8

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 マレーヴィチMalevich(1878~1935)はロシア未来派の画家。2000年に訪れたサンクトペテルブルクのロシア美術館のコレクションも素晴らしいものでした。抽象を徹底したシュプレマティズムの創設者として知られていますが、上記の作品はレジェ風のキュビズム的な表現のもの。1920年代後半は具象的な画風に変わっていったようです。


↓クレー「New Harmony」(絵葉書)暗いグレーや栗色と多色の市松模様、こんな柄の帯が欲しいなと美術鑑賞から離れた審美的欲望(笑)絵葉書より本物の色はとてもシックです。

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ほかにはピカソ青の時代、スーラの鉛筆画、モジリアーニの裸婦図、ブランクーシの彫刻「アダムとイブ」など。


エレベーターが故障してたため、行きはゆっくり鑑賞、帰りはどどっと急ぎ足になってしまいました。ユニークな建築はそれだけで魅力的ですが、アート鑑賞にはいまいち落ち着かないかも・・・。


グッケンハイムから東に1ブロックのマジソン・アベニューからバスに乗って終点のクロイスターズまで。NYのバスは老人や子供などが多いためか、停留所が2ブロックごとくらいにあり、大層時間がかかりました。でも

ザ・クロイスターズ美術館の前がバス・ストップなので便利です。


↓美術館の建物は中世の教会風

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☆ザ・クロイスターズ美術館 (初)


 スペインや南フランスから運ばれた5つの回廊と修道院の遺構によって構成され、12~15世紀の中世美術を紹介しています。

↓トスカーナ・ロマネスクの扉口@San Leonardo al Frigido(1175頃カッラーラ・マーブル)「キリストのエルサレム入城」

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↓スペイン・レオンの磔刑像(12世紀)

 

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↓フランス・オーヴェルニュ地方の聖母子像(12世紀末)


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↓フランス・ブルゴーニュ地方オータンの聖母子像(1130~40)


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↓フランス・ブルゴーニュ@Moutiers-Saint-Jeanの扉口(13世紀半ば)タンパンには「聖母戴冠」

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↓The Cuxa CLOISTER @saint-Michel de-Cuxa フランス・ピレネー地方カニグー山麓に建つベネディクト派修道院から移築。



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↓南ドイツの「ピエタ像」14世紀


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 他には象牙のクロスや「一角獣伝説」のタペスリーなど。これだけ良く集めたものと感心しつつも、大西洋を越え、アメリカまで移築されたロマネスクの教会の回廊や扉口・・・作りものめいた感じはぬぐえません。オリジナルの何世紀にもわたってひっそり建っていた、あるべき場所で観たかったなと思うのは致し方ないでしょう。カンパンの最高傑作「メローデ祭壇画」(1425~30)は必見です。小さな古風な部屋で緻密に描かれた受胎告知の室内風景を眺めていると、徐々に先ほどの違和感も薄れてきました。ニューヨークでの美術行脚はここクロイスターズがあるから更に奥深く、味あうことができるのかもしれません。写真は初代デジカメのうえ、縮小したものを少し拡大したので不鮮明です。また初回では見逃したものも多かったので、再訪(2009)再々訪(2011)しています。


帰途はまたバスに乗ったのですが、146thあたりで降車。バスの運転手さんの指さす方向に地下鉄の駅があり、コロンバス・サークルのホテルに帰りました。部屋で休んでいると夕刻から激しい雷雨。外出は控えてホテル内のレストランで食事。ラムの炭焼きなどいただいたのですが、あまり美味しくないのに高いので驚きでした。雷雨ですっかり季節はずれの猛暑も終わりました。













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