(2)パリ [2002初夏友人たちとヨーロッパの旅]
6/26(水)
地下の朝食室でハムもチーズもない簡素な朝ごはんのあと、市内観光へ。サン・ルイ島から橋を渡りノートルダム大聖堂へ行ってみましたが、すでに大行列!入場はあきらめて次の目的のサン・ティチエンヌ教会に向かいました。サンジェルマン大通りを横切り、なだらかな坂道を歩いて20分ほどで到着。
↓西側 朝なので暗く写りました
↓豪華なファサード
☆Eglise Saint-Etienne de Mont サン・ティチエンヌ・デュ・モン教会(1494-1624)
フレンチ・ゴシックとルネッサンス様式で建てられています。ロマネスク好きな私にとって、訪れることは念頭になかった教会ですが、地元のカルチャー教室で「神秘の葡萄絞り機」という中世キリスト教の主題があると知って驚き、チェックしたところ、パリにあることが判明。この主題のものは珍しく、現在ではほとんど残っていないとのことです。
エミール・マールの『中世末期の図像学 上』によりますと中世末期の熱狂的な信仰がそのまま伝わるような奇妙な図像を芸術家たちは着想。イエスがその血を最後の一滴まで流しつくしたことをより深く理解させるために、イエスを葡萄絞り機の螺旋軸の下においたというのです。この主題は15世紀にはじめて現れるので、ロマネスク美術には見られません。ルターやカルヴァンのプロテスタンティズムに対して宗教芸術が開始した闘争の一環なのです。素朴なロマネスク期の図像からこの受難の中世末期の図像に至るまでの流れ‥単なる美術史以上に興味深いものです。
堂内は華麗な広い空間、立派なパイプオルガンが置かれていたほかはよく覚えていません。「神秘の葡萄絞り機」のステンドグラスは回廊(といっても室内のギャラリー)にありました。
↓フランス語で« Pressoir mystique »といわれるステンドグラス(17世紀初め)。キリストの足元に集まる聖職者たち(赤い帽子は枢機卿)が血の保管と信者の聖体拝領を行うという象徴です。
他にも何枚かのステンドグラスが並んでいましたが、写真でもお分かりのように黒い線の修理跡が痛ましく残っています。第二次大戦のパリ空襲の時、爆音で崩れ落ちたのを補修復元したそうです。
↓参考図書
エミール・マール『中世末期の図像学 上』(図書刊行会)
近くのパンテオンにも行ってみましたが、クローズでした。このエリアはパリ大学やソルボンヌ大学があり古本屋も多いところですが、E子さんの希望もありクリュニー中世博物館へ急ぎました。ここは8年ぶりの再訪でしたが写真もありませんので、省略します。
ランチはサン・ジェルマン・デ・プレの老舗カフェ「ル・プロコープ」にて。店先に牡蠣が出ていたので、真夏なので躊躇したのですが、お店の人「うちのはオール・シーズンOKだよ」というので、白ワイン、生牡蠣、鶏とヌードルの煮込、木苺のデザートをいただきました。徒歩でサン・ルイ島に帰る途中ノートルダムにも寄り、見学しました。
↓カテドラルの後陣
夕方まで仮眠した後、バスチーユのオペラ劇場へ。徒歩で25分ほどかかり、ヒールの靴では辛い道のりでしたが、初めて生のアラーニャが聴けると思うと足取りは軽かったです。ところが劇場に着いてみれば、なにやら騒がしい気配・・・手渡されたプログラムを見てがっかり。アラーニャはキャンセルで、代役はセルゲイ・ラリンになっていました。開幕前に説明がありましたがブーの大合唱・・・。ラリンは2日後の『ルサルカ』でも歌うはず、大丈夫?席は平土間中央左寄り第2カテゴリーで107€
♪ビゼー『カルメン』19:00開演@オペラ・バスチーユ
指揮:ジェス・ロペス・コボス 演出:アルフレッド・アリアス
ドン・ホセ:セルゲイ・ラリン エスカミィリオ:ジョン・レイア カルメン:デニス・グレィブス ミカエラ:インヴァ・ムーラ
第一幕の舞台は半円形の闘牛場、手前に鉄柵がある。おきまりの煙草工場ではないのでアレレ。闘牛場の階段席に不気味に固まって座らせた仮面の人形たちはゴヤ風。主役3人に扮した美しいバレエダンサーたちにくっついて動き回る3人のこびと(差別用語だったらスミマセン)には正直苦しい気分。
以前映像で観た『ドン・カルロ』(カラヤン指揮)にベラスケスの絵画風におつきの道化姿ででていたこびとだが、その時にはそんな感情はなかったので、この演出に無理があるのではと思った。
最後のカルメンが刺されて倒れたシーン、閉まっていた闘牛場の扉が開いて、槍の刺さった血だらけの牛の首(本物ではないが)がゴロンと置かれて・・・うへぇ~気味悪い!!カルメンの哀しい運命に涙するはずだったのにぃ~。音楽はこのスペイン風のおどろおどろしさとは別物で、すっきりさっぱりパリらしく洗練された響き。
カルメン役のグレーブス、あまり歌に色っぽい陰影はないものの安心して聴ける素晴らしい声、ラリンは少し声が太め?なテノール、頑張ってはいたが次に聴いた『ルサルカ』のほうがあっていたように思った。エスカミリオは若くハンサムな背の高いバスバリトン。映像も含めて今までで一番かっこいい闘牛士、歌は普通でも沢山の拍手をもらった。この後はMETで大活躍します。ミカエラのムーラはほとんど印象に残らない(演出のせいかも)。総体的に演出と音楽が上手くかみ合っていないためか、私の好きなオペラなのに感銘度はすこぶる低かった。(My HPより転載)
ドン・ホセ:セルゲイ・ラリン エスカミィリオ:ジョン・レイア カルメン:デニス・グレィブス ミカエラ:インヴァ・ムーラ
第一幕の舞台は半円形の闘牛場、手前に鉄柵がある。おきまりの煙草工場ではないのでアレレ。闘牛場の階段席に不気味に固まって座らせた仮面の人形たちはゴヤ風。主役3人に扮した美しいバレエダンサーたちにくっついて動き回る3人のこびと(差別用語だったらスミマセン)には正直苦しい気分。
以前映像で観た『ドン・カルロ』(カラヤン指揮)にベラスケスの絵画風におつきの道化姿ででていたこびとだが、その時にはそんな感情はなかったので、この演出に無理があるのではと思った。
最後のカルメンが刺されて倒れたシーン、閉まっていた闘牛場の扉が開いて、槍の刺さった血だらけの牛の首(本物ではないが)がゴロンと置かれて・・・うへぇ~気味悪い!!カルメンの哀しい運命に涙するはずだったのにぃ~。音楽はこのスペイン風のおどろおどろしさとは別物で、すっきりさっぱりパリらしく洗練された響き。
カルメン役のグレーブス、あまり歌に色っぽい陰影はないものの安心して聴ける素晴らしい声、ラリンは少し声が太め?なテノール、頑張ってはいたが次に聴いた『ルサルカ』のほうがあっていたように思った。エスカミリオは若くハンサムな背の高いバスバリトン。映像も含めて今までで一番かっこいい闘牛士、歌は普通でも沢山の拍手をもらった。この後はMETで大活躍します。ミカエラのムーラはほとんど印象に残らない(演出のせいかも)。総体的に演出と音楽が上手くかみ合っていないためか、私の好きなオペラなのに感銘度はすこぶる低かった。(My HPより転載)
終演は11時ごろになり、暗い夜道を酔っ払いに出会ったりしながらも、友人と一緒なので心細い思いもなく、走るように無事宿へ帰りました。
参考映像:地元のカルチャー教室で観た2本(1997.4&2002.1)