(6)パリ [2003春パリからベルリンへの旅]
4/13(日)
今日のオペラ『ボレアード』はマチネなので、遠出はできません。マレの紅茶専門店の「マリアージュ・フレイル」は日曜日はブランチがあるとのこと。朝は遅めに起床し11時頃行ってみました。ところがブランチと言っても12時からとのこと。一度はあきらめてサン・ジェルマン・デ・プレのお寿司屋さんに行ってみましたが、日曜日なので休業。そのうち12時になったのでマレに戻って「マリアージュ・フレイル」へ。奮発して35€のフアゴラのブランチを注文。値段ほどでもなく失望・・・。食後はオペラ座にも近い旧国立博物館へ。学術的文化的なエリアに趣のある建物の図書館は庭園も広く、素敵なところです。(↓Google earthより)
ここで「大フーケ展」がありました。
↓フーケ「ヌアンのピエタ」1455頃 146×237
この板絵はフランスのロアール地方トゥールの南東に位置する小さな村ヌアン=レ=フォンティーヌの教区聖堂にあります。実際にここまで訪れたのではありませんが、パリの旧国立図書館での「大フ-ケ展」で観ることができました。
フーケJean Fouquet(1415/20頃~81以前)は15世紀最大の宮廷画家。イタリアでの修業の後、故郷のトゥールに戻り活躍、「王の画家」の称号も受け、華やかな画家人生を送ったと思われます。でも、このピエタは小さな村の教会にふさわしく、慎ましく静謐な空気で満たされていました。
↓「エティエンヌ・シュヴァリエの時祷書」から<聖マルガリータ>1452-60頃 /ルーヴル美術館アートグラフィック部門蔵
フランス国王シャルル7世や11世時代の財務長官だったエティエンヌ・シュヴァリエのためにフーケが挿絵を描いた時祷書。キリストや聖人たちの説話を15世紀のフランスの風景に同時代人(判定可能な、有名な)を登場させて描いています。シャンティィのコンデ美術館にも40枚ほど収蔵されていますので、そちらでも「フーケ展」が開催されていました。
最初の画面をクリックすると次々観ることができます。
http://expositions.bnf.fr/fouquet/enimages/chevalier/intro.htm
↓「フランス大年代記」1459 サン・ドニ修道院で編纂されてきた正史を縮約してシャルル7世に献呈。フーケが51枚のミニアチュールを手掛けました。
http://expositions.bnf.fr/fouquet/enimages/chroniques/intro.htm
さすがに「大フーケ展」というだけあって、これほどの規模のフーケを観ることは(特に国立図書館収蔵のミニアチュール)今後あるかどうかと思われます。
時間的に細かい鑑賞ができたとは言えませんが、現在でもHPで観ることができるのを知り、嬉しくてアップしました。
♪~ ラモー『レ・ボレアードLes Boreades』15:00開演
指揮:William Christie 演出:Robert Carsen オーケストラ:Les Arts Florissants
ALPHISE:Barbara Bonney SEMIRE:Anna Maria Panzarella POLYMNIE:Jael Azzaretti
ABRIS:Paul Agnew CALISIS:Toby Spence BOREE:Laurent Nauri BORILEE:Stephane Degout
ADAMAS/APOLLON:Nicolas Rivenq
ラモーのオペラは初めてでしたが、予習に余り時間が取れないまま、白紙に近い状態での生体験でした。
バロックは大好き!クリスティも前年、札幌まで来てくれて、素晴らしいヘンデルのメサイアを聴かせてくれましたから、楽しみでした。
幕が開くと黒い舞台に平面に植えられた花畑がいかにもフランス庭園風。演出はカーセンなので、シンプルモダンな色彩感覚が印象的。ギリシアの神話の恋愛劇を自然の雨や風を背景に、ストーリーが展開していきます。演出は正直理解不能の面もありましたが、それをあれこれ考えるよりも優雅な心地よさを伴った音楽にうっとり。そして、時折バロック演奏では先端を行くような響きにも感動でした。またコンサートマスターの黒崎さんがオペラ仲間の友人の息子さんということもあって、素晴らしい弦楽器の響きに大拍手。
歌、管弦楽、バレエ(なんといってもガルニエ!!)、そして演劇的要素がほどよく散りばめられた優れた舞台でした。予習していればより深くフランスバロックを愉しめたでしょう。それが心残りでした。
バロックは大好き!クリスティも前年、札幌まで来てくれて、素晴らしいヘンデルのメサイアを聴かせてくれましたから、楽しみでした。
幕が開くと黒い舞台に平面に植えられた花畑がいかにもフランス庭園風。演出はカーセンなので、シンプルモダンな色彩感覚が印象的。ギリシアの神話の恋愛劇を自然の雨や風を背景に、ストーリーが展開していきます。演出は正直理解不能の面もありましたが、それをあれこれ考えるよりも優雅な心地よさを伴った音楽にうっとり。そして、時折バロック演奏では先端を行くような響きにも感動でした。またコンサートマスターの黒崎さんがオペラ仲間の友人の息子さんということもあって、素晴らしい弦楽器の響きに大拍手。
歌、管弦楽、バレエ(なんといってもガルニエ!!)、そして演劇的要素がほどよく散りばめられた優れた舞台でした。予習していればより深くフランスバロックを愉しめたでしょう。それが心残りでした。
↓プログラム
マチネなので夕方には終演。ホテル近くの寿司屋でテイクアウトの巻寿司などを買って帰りました。
明日はボローニャに向かいます。
(5)パリ(オルレアン~サン・ブノワ・シュル・ロアール) [2003春パリからベルリンへの旅]
4/12(土)パリ・オーストリッツ10:10→オルレアン11:10
この日は日帰りの予定でロアール川を遡った2つの教会を巡りました。まずは基点になるオルレアンへ。パリ・オーストリッツ駅から約1時間の汽車の旅。トゥール行きの汽車はオルレアンに直行せず郊外のLes Aubrais Orleans で停車。すぐ向かいに待機している列車に乗り換えてオルレアンまで一駅、数分で到着しました。オルレアンの駅舎は近代的な建築、ショッピングセンターも併設。ある程度の規模の都市はこういう形態の駅になっていくのは日本も同じだけれど、味気ない気がします。駅からカテドラル近くの(i)に行ってみたのですが、土曜日だったので閉まっています。以前ツアーで寄ったことのあるこの町はある程度土地勘があったので、とりあえず13世紀から16世紀までかかったという大きくて立派なゴシック様式のカテドラルを再見学。その後サロン・ド・テで軽く食事してから郊外のふたつの教会を目指しました。
↓オルレアンのシンボル、ジャンヌダルクの像
↓大聖堂
↓大聖堂近くの古く趣のある館
駅の構内のバスターミナルの切符売り場でST-Benoit-sur-Loire行きのバスを尋ねたのですが、ないような?答えなので、仕方なくタクシーに乗ることにしました。地図では途中にGermigny-des-Presもあるので効率は良いし、料金も基本の50EUR(往復で7~80キロ)に待ち時間とチップを加えて65EUR、去年のプーリアに比べると安いし、走る前の運転手さんの説明も料金表を確認しながらなので安心でした。ロアール川に沿って30分ほども南東に走り小さな村に入るとジェルミ二イ・デ・プレ教会がひっそり建っています。
中に入ると観光客は私だけ。管理人さんらしい人が居て私が入っていくと嬉しげな様子で英語で説明してくれました。見るべきものはフランスではとても希少とされるラヴェンナの工房による後陣天井の円蓋モザイク。写真↓ではハッキリしませんが、ラヴェンナのクラッセ教会に似たところは神の手が中央に配置されていること。建築には詳しくないのですが19世紀の改築が上手くいかなかったらしいのです。オリジナルはロマネスクより古いカロリング朝の集中形式といわれ希少価値だったと管理人さんも残念そうでした。
↓ プラン
↓後陣外観の写真がカメラに入りきらなかったので撮りませんでした。下の写真はZodiaque「Val de Loire ROMAN」より。
待たせていたタクシーで数分のサン・ブノワ・シュル・ロワールへ。
☆サン・ブノワ・シュル・ロワール教会saint-Benoit-Sur-Loire
メロヴィング朝時代の7世紀に創建され当初は聖ペトロに捧げる修道院でした。仏語のブノアとは聖ベネディクトゥスのこと。色々と紛糾のあった伊のモンテ・カッシーノから聖ブノアの聖遺骨を奪回し、この地へ持ち帰りました。9世紀~10世紀にはヴァイキングの襲撃により荒廃した時代もありましたが。代々の優れた修道院長たちがそれを再建。カロリング時代の教会を改築し1030年代には鐘塔玄関が完成し、次々と改築が進み、現在の教会の姿になったのは13世紀になってからとのこと。ロアールのみならずフランスのロマネスクを代表する修道院です。
ロワール川沿いの小さな村に佇む教会は鐘楼玄関を持ち堂々とした姿で建っています。鐘楼玄関は2層になっていて、合計100を超える柱頭彫刻で埋められた素晴らしい空間です。吹き晒しなので外部に近いほうはかなり傷んでいますが、一千年に近い歳月を考えるとこれだけキチンと残っているのは奇跡のようにも思えます。
↓写真はキリストの生涯のうちの「エジプトへの逃避」
↓「愛の柱頭」
ほかにも黙示録をテーマにしたものなど多彩。
内部は修道院として今も立派に機能しているので、僧服の修道士さんの祈る姿もあり、敬虔な雰囲気を持っています。地下のクリプトはこのとき閉鎖され見学できなくて残念でした。
↓北側扉口
↓前景、鐘塔玄関
ロワール川の向こうに遠ざかるサン・ブノア・シュル・ロワール教会に別れを告げて、オルレアンに戻りました。オルレアン歴史博物館の前でタクシーを降りますと、なんとも古風な建物・・・。
門を入って左に進むと受付があり、展示室へ。ロマネスク彫刻がいくつか、確かサン・ブノア・シュル・ロワール教会にあったものと記憶しています。詳細不明。
余談ですがトイレは館内にはなく、外の木造小屋にあり、一応は水洗ですが、裸電球がぶら下がっていました。まだ暗くなかったので、灯りをつけずに済みましたが・・・。
オルレアン17:53→パリ・オーストリッツ18:59
また列車でパリに戻りました。丁度夕方ですが、疲れたのでマレにあるファラフェル屋に寄って持ち帰り、ホテルで部屋食。一個でおなかがいっぱい。Bさんに教えてもらったファラフェルサンドはこの時が初めてでした。安くて旨い~!