(13)ウィーン~ベルリン [2003春パリからベルリンへの旅]
4/20(日)ウィーン7:30→ベルリン9:00
この日は早朝7時30分の飛行機でベルリンへ。9時頃ベルリン・テーゲル空港に到着。ベルリンは1993年春、娘たちと来て以来10年ぶりの再訪です。今回はオペラ(ベルリン春の音楽祭)が目的なので、国立歌劇場まで数分のウエスティン・グランド・べルリンに3泊しました。チェックインした時はまだ10時ごろだったのですが,さすが5☆です。すぐにお部屋を用意してくれました。5☆といっても華やかさはなく落ち着いた大人の雰囲気で、ロビーが広く、赤いじゅうたんの大階段とグランドピアノが置かれています。
↓部屋はシングル、ウンター・デン・リンデン大通りから1ブロックですが、静かな部屋です。
この近くは10年前に娘たちと通り過ぎたこともありましたが、変貌ぶりは驚くばかりです。壁のかけらやロシア人たちの物売りの姿はすでになく、変わらないのは
↓フンボルト大学の古本市
↓今夜から早速2夜通うことになる国立歌劇場
↓ケーテコルビッツの母子像@ノイエ・ヴァッヘ
↓博物館島の入り口に位置するベルリン大聖堂
↓旧ナショナル・ギャラリーが見えてきました。
☆旧ナショナル・ギャラリーAlte Nationalgalerie(初)
ギリシア神殿のような建物のギャラリー。東西ベルリン統一後は西に分かれていた美術館と統合され、ここは19世紀美術専用の美術館として、3年間の改装を経て2001年にオープンされました。ここで観るべきは、フリードリヒ、ベックリン、メンツェルなど。
特にドイツロマン派の代表的な画家Caspar David Friedrichフリードリヒの充実したコレクションは必見です。下はすべて絵葉書です。
↓フリードリヒ「月を眺める男と女」1824頃 34×44
↓フリードリヒ「樫の森の修道院」1809-1810 110.4×171 1810年のベルリン・アカデミー展に出品。フリードリヒの故郷グライフスヴァルト近くの廃墟の修道院がモデルとされています。同時に出品された「海辺の修道士」とともにプロセイン王室に買い上げられました。
↓フリードリヒ「窓辺の婦人」1822 44×37 モデルは画家の妻カロライン。窓外にはエルベ川を航行する船のマストがみえます。
↓ベックリン「死の島」1833 80×150
ベックリンの作品の中で一番人気のあるテーマ「死の島」は全部で5点のヴァージョンがあります。一点は大戦中に焼失?したのか行方不明。他の4点はにメトロポリタン美術館、バーゼル美術館、ライプツィヒ美術館、そしてここベルリンの旧ナショナルギャラリーが所蔵しています。
帰途☆ベルリン旧博物館(Altes Museum)も寄ってみました。同じ広場に面した大聖堂にも負けない堂々たる建物。新古典主義様式でシンケルの設計によるもの。旧博物館の「旧 (Altes)」は古代ギリシアなど旧い時代の美術品を収蔵している博物館という意味で、古い旧式の博物館という意味ではないそうです。
古代ギリシアの彫像の並ぶドーム天井の大きなホールからギリシアの壺などの並ぶ展示室へと見学しました。
彫像の中にギリシアの女神(羽を背にした勝利のニケ像)私が観たものは画像がありませんので、似たものをアップしました。何故なら翌日観たオペラ『トリスタンとイゾルデ』の舞台にうつ伏せの姿で登場していたのです。
館内で軽くサンドイッチのランチを済ませ、ホテルへ戻りました。
夕方のオペラ開演に合わせて仮眠タイム。そしてウンター・デン・リンデン歌劇場へ向かいました。やや小ぶりな劇場ですがクラシックな内装も素敵です。席は3列目やや右より。
♪~ヴェルディ『椿姫』7:30~
指揮:バレンボエム 演出:ムスバッハ
ヴィオレッタ:クリスティーネ・シェーファー アルフレット:ロナルド・ヴィラゾン
ジェルモン:トーマス・ハンプソン
ヴィオレッタ:クリスティーネ・シェーファー アルフレット:ロナルド・ヴィラゾン
ジェルモン:トーマス・ハンプソン
今まで観た椿姫の中で一番印象に残る舞台でした。ムスバッハのこの演出はこの後エクサンプロヴァンスでも公演するそうですが、フェストターゲではバレンボエムの指揮に加えて、シェーファーがヴィオレッタ、新進テナーのヴィラゾン、10日ほど前にバスチーユでテルを歌ったハンプソンと魅力的なラインナップです。
舞台は紗幕がオーケストラ席まで降ろされ、自動車のリアウインドウに雨のワイパーの動くシーン。観客からそれを通して舞台に繰り広げられる悲劇を観るというスタイルです。ヴィオレッタは金髪に白いドレス姿でマリリンモンローを想起させますし、自動車の画面がトンネルを走ったりすると必然的にダイアナ妃の悲劇がオーバーラップします。現代のマスメディアによって暴かれたモンローやダイアナ妃の私生活と逃れようのない孤独感。それらを背景に薄幸なヴィオレッタの愛と死のドラマ。ヴェルディの音楽がこの現代的な演出にもなんの違和感もなく切々と奏でられました。
シェーファーは昨年METのルルが鮮烈でしたので、今回はやや不安定に聴こえたのは体をゆらゆら動かしながら歌うのが原因だったかも。
ムスバッハはパパジェルモンに対してもかなり特異な役割を持たせています。パパジェルモンは男盛りで娼婦ヴィオレッタに性的関心を見せ、まるで言い寄るような素振り…客席からもため息...ですから、アリア「プロヴァンスの海と陸」も白々しく聴こえます。父親がそうなら息子も息子で、父親の訪問で推察できそうなものなのに、裏切られたと札束でヴィオレッタの頬をたたくような、救いようのないこどもっぽい男。ますます不憫なヴィオレッタ…女たちの受難ヒストリー的演出でした。
カーテンコールではバレンボエムは歌劇場のオーケストラ全員を舞台に上げ、ヴィラゾンの肩を抱いて、ご満悦。
↓舞台写真(現地で購入)
参考映像:ヴェルディ (1813-1901)<椿姫> La Traviata ヴィオレッタ・・・・・テレサ・ストラータス(ソプラノ) フローラ・・・・・・アクセル・ガル(メゾ・ソプラノ) アンニーナ・・・・・ピーナ・チェイ(ソプラノ) アルフレード・・・・・プラシド・ドミンゴ(テノール) ジェルモン・・・・・・・コーネル・マクニール(バリトン) ガストーネ子爵・・・マウリッツオ・バルバチーニ(テノール) ドゥフォール男爵・・・アラン・モンク(バリトン) ドビニー侯爵・・・・・リチャード・オネット(バス) 医師グランヴィル・・・ロバート・ソファー(バス) ジュゼッペ・・・エルネスト・ガヴァッツイ(テノール) フローラの召使・・エルネスト・パナリエッロ(バス) 使者・・・・シルベストロ・サッマリターノ(バス) 管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団 バレエ:ヴォリショイ劇場バレエ団 指揮・音楽監督:ジェイムス・レヴァイン 監督・脚本・美術:フランコ・ゼッフィレルリ 制作:1982年 ローマ 2002.6道新教室にて
ホテルに戻り、夜食はルームサービスをとってみました。ソーセージ入りのスープは美味しかったけれど、パスタはダメでした。
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