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(9)ボローニャ(パルマ&モデナ) [2003春パリからベルリンへの旅]

4/16(水)


 今日は日帰りでパルマとモデナを初めて訪れました。これらの街にはエミーリア・ロマーニャ・ロマネスクの有名な教会があります。まずはパルマまで列車で1時間。駅からは徒歩で10~15分くらいで、ドゥオーモと洗礼堂を目指しました。


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↓広場に面して建つ大聖堂(ドゥオーモ)と洗礼堂(Wikipediaから拝借)


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☆パルマのドゥオーモ


 ポー川流域に建つ12世紀のロマネスク教会。そのなかでも代表的な建築のひとつです。向かって右に建つ洗礼堂とともにパルマの中世の佇まいが残っています。ファサードは3層に開廊が並び、扉口は玄関柱廊つき、柱を支える獅子が並んでいます。内部の見どころはコレッジョの「聖母被昇天」のクーポラのフレスコ画。また右交差部にアンテラミの有名なレリーフ「キリスト降架」があります。これは目の高さに掲げられているので、良く鑑賞できます。空から天使がユダヤ教の僧の帽子をつっ突いているのが、ユーモアがあり、ガイドの説明を受けていたドイツの観光客から笑いが起きました。

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12世紀から17世紀にいたるパルマの誇る美術に彩られ、見どころ満載。外観は洗礼堂とほぼ同時期に建てられた姿をとどめています。


☆パルマの洗礼堂


 八角形プランのロマネスク=ゴシック様式(1196~1270)。高さ35mのスリムで優雅な佇まいの建物。淡いピンクの石張りの外壁と3つの扉口などに彫られた浮彫。内部も月暦をはじめとする浮彫や13世紀後半に描かれたフレスコ画で埋められた見事な空間。南仏で修業したアンテラミの作品はフランスの影響が大きく、古典的祝祭的な表現が素晴らしい。地理的にもフランスからローマを目指す巡礼路に建っていて、この広場に立つと巡礼、騎士、詩人、芸術家たちの賑やかな往来が想像されました。

↓アンテラミ制作の扉口


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さて、ドゥオーモの広場から駅へ戻る途中に大きな広場、そしてピロッタ宮殿が建っています。


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 豪壮堅固な宮殿のなかには国立考古学博物館もありますが、今回は絵画館だけに絞りました。それというのも、思いがけなくパルマ出身のパルミジャニーノの大規模な展覧会が開催されていたので、これを見るだけで相当な時間が費やされるからです。窓口で特別展も含まれたチケットを買おうとしていたら、イタリア人の若い女性から日本語で声をかけられました。新宿の日本語の教室に何ヶ月か通っていたそうで、今はローマの近代美術館にお勤めされている方でした。美術系のお仲間をリーダーとして連れて来られていました。ですから絵画にも詳しいかたで話せばきりがなくなります。ローマに寄ってください、日本語もっと話したいと名残惜しそうでした。

パルミジャニーノ展に入場する前にファルネーゼ劇場の見学。18世紀初頭に建てられた素晴らしい劇場はとても大事に保存されています。オペラの「リゴレット」の映像に使われているのを見て以来、ここへ来るのが楽しみでした。階段状の観客席を見ているとパバロッティの歌声が聴こえるよう・・・音響もすごく良さそうです。


パルマ国立絵画館Galleria Nazionale


パルミジャニーノ Parmigianino15031540)は初期マ二エリスムの代表的画家。同郷のコレッジョの強い影響を受けますが、青年期にローマに滞在したことでミケランジェロやロッソ・フィオレンティーノからの影響も大きく受けました。引き伸ばされたプロポーションと官能的で唯美的な表現が独特な印象です。晩年はパルマに定住していましたが、錬金術にこり、精神的な危機を深め、37歳という短い生涯を終えました。
本名とは別に
パルマの画家というニックネームのついたほどの画家ですから、ここで開催された大規模な展覧会はその名前にふさわしく、世界中から集められた作品のほか彼に影響を与えた上記の画家たちの傑作も並べられた
ものでした。カタログが腰痛の身にはあまりに重く、購入を断念したのが今思えば非常に残念です。



↓パンフレット「パルミジャニーノとヨーロッパのマニエリスムParmigianino e il manierismo europeo」入場料10€

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↓特別展を入ると2枚の自画像が並んでいます。

若き日の「凸面鏡の自画像」1523-24 直径24.4/ウィーン美術史美術館


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晩年の落ちぶれた面影の「自画像」1540 21×15.5/パルマ国立絵画館


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↓一番美しく目立ったのはナポリからの「若い女性の肖像(アンテア)」1535-37 135×88/ナポリ,カポディモンテ国立美術館

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↓そしてパンフレットにも使われた「若い女性の肖像(トルコの女奴隷)」1530頃 67×53/パルマ国立絵画館


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↓「羊飼いの礼拝」1524-25頃 59×34/ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館蔵


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↓素描室にも多数の素晴らしいドローイング。そのうちの印象的な一枚「autoritratto con cagna gravida妊娠中の犬を持つ自画像」1534頃/大英博物館素描コレクション


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↓コレッジョの「ダナエ」1531頃 161×193/ローマ、ボルゲーゼ美術館蔵


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2時過ぎの遅くなったランチはガイド本にのっていたすぐ近くのグレッピアで。とても気のきく給仕のおじさん、パスタをどれにするか迷ってましたら、半分ずつ食べたらいいよとお勧めのパスタを2皿、とても美味しくてペロリ平らげました。
ロマネスク、美術、そして食の都パルマも楽しみ、なんて幸せなの~と、つぶやきながら、再び列車に乗りモデナへ。


モデナ駅に着いたのは4時を過ぎていました。駅からは1K程度で充分徒歩で行けるところですが、タクシーで大聖堂へ。


☆モデナ大聖堂Cattedrale


 ポー川流域のロマネスク様式の傑作。1099年に着工され13世紀になってから完成。ファサードは3分割され中央の扉口には柱廊式玄関が設えてあり、両側にライオンが柱を支えています。薔薇窓は13世紀のゴシック様式。

↓ファサード側の広場からの写真(Wikipediaから拝借)


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↓ファサードには12世紀の巨匠ヴィリジェルモの「創世記」の浅浮き彫りなどがほどこされています。


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↓ファサードから左に、大聖堂の後陣横には80mのギルランディーナの塔が見えます。


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↓北側面の魚市場の扉口はヴィリジェルモの弟子たちの作品


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↓南側面の現在は封鎖されている扉口


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南側面の大きな広場に面したゴシック様式の王の扉口


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↓後陣外観


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これらの外観を見るだけで時間がたってしまいましたが、凝った内陣のバルコンのしつらえ、テラコッタ像「重湯の聖母」のあるクリプト、そして隣接する石碑博物館も見逃せません。
博物館も閉まる寸前に入館できました。
ここには浮き彫り石板が8枚あり、この旅のあちこちで巡り会った「女と竜」(写真下)も展示されていました。黙示録からの図像というよりエヴァと誘惑の蛇に近いのでしょうか?。


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今日巡ったパルマとモデナもそうですが、フランスからローマへの巡礼の道にはいくつかのロマネスクの聖堂が残っています。。アルプス越えをしてこの道を辿った人々の神への大いなる想い・・・
エミール・マールは著書のなかでこう述べています。
「12世紀の人々はこの大きな旅を心から愛していた。彼等には巡礼こそはキリスト教徒としての人生そのものと思えたのである・・・」

鉄道駅から徒歩でも可能ですが、あいにく持病の腰痛がおきてしまったので、往復タクシーを使いました。現代の神ならぬ美への巡礼者はか弱いです・・・。明日はポンポーザへ行きますが、この腰の不調ではもう気力で行くしかないわ・・・と、ボローニャに戻りました。夕食は途中で持ち帰りのピザとビールで部屋食。








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