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(5)ニューヨーク [2002春NYオペラと美術の旅]

4/18(木)

 昨日より心なしか涼しく感じられます。それでも25度はあるので、札幌でいえば真夏日です。今日の予定は2回目のメトロポリタン美術館探訪です。今回は19世紀の展示室から巡りました。ゴッホ、マネ、セザンヌ、ルノアール、ドガとさすがに優品が揃っています。特にお気に入りのルドンは花瓶の花もパンドラも素晴らしい。

↓ルドン「パンドラ」( 1910頃) 143.5×62.2  ネットから拝借

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アメリカ絵画といえば古くはハドソンリヴァー派から観なくてはと何点か鑑賞したのですが・・・印象に残らず、回廊のシャヴァンヌが良い。そして20世紀絵画の中2階に移動 。やはりバルティスが強烈で、しばらく思考と視覚とを行き来しつつ、画家の斬新なイメージに感嘆。奥の回廊のカフェでお茶してから今日のメインレイマン・コレクションへ。地階はクローズされ、お目当てのクリヴェッリもガラスケースに小品の「Apostlo con cartiglio」が一点だけで残念!ここにはバルティスの大作「鏡の前の少女」が展示されていました。クリヴェッリもそうですが、メトロポリタン美術館収蔵といっても個人のコレクションから入ったものはそれぞれ別部屋やコーナーに展示されているので、あちこち館内を探し回らなくてはなりません。広大な美術館にクリヴェッリは3箇所に分かれているのです。しかもこの2002年春に確かに観たはずのApostlo con cartiglio」はその後何度か立ち寄ったのですが、見かけなくなって・・・修復中?

カルロ・クリヴェッリApostlo con cartiglio/ 巻物を持つ聖人」28×21  1471年頃に制作されたモンテフィオーレ多翼祭壇画の下部プレデッラ11点のうちの1枚。この祭壇画は19世紀に分断され、世界各地に分散しました。中央部はブリュッセル王立美術館にある「玉座の聖母子」です。

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*手持ちの参考書からスキャンしたのですが、色が鮮やか過ぎ。実物はもっとシックな茶系です。

↓ ショップに立ち寄り、重いので躊躇っていた「ジェンテレスキ父娘展」のカタログを購入。大型版なのでスキャナーに収め切らず左が少し欠けました。

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 タクシーでいったんホテルに戻り、少し遅くなったランチは隣のTrump International Hotel & Tower New Yorkの1階にあるフレンチレストランへ。長女はまだメトロポリタン美術館に残っていたので、しめしめと2人分の予算を投入して、優雅にお食事。予約なしでしたが奥の部屋に通され3皿+デザートのプリ・フィクスメニュー45ドルをチョイス。ワインやチップなどで80ドル!でも美味しくてほとんど完食、セントラルパークの緑を眺めながらの美食で大満足でした。午睡も昨日と同じに長くとり6時半まで。そしてリンカーンセンターのMETへ。

♪~ヴォルフ・フェッラーリ『スライ』@MET 7:30開演

指揮:マルコ・アルミリアート  演出:マルタ・ドミンゴ

スライ:プラシド・ドミンゴ  ウエストモアランド侯爵:ファン・ポンス  侯爵の愛人:マリア・グレギーナ

 
実はこのオペラについては簡単なあらすじだけの知識しかなく、ドミンゴが歌うのにつられて申し込んだのです。
この日は初めて3階の席、最前列中央。舞台全体を眺められ、音楽の響き◎でした。そうそう開幕の時シャンデリアがスルスル上がっていくのに初めて気がつきました。
メインカーテンが開くと黒の紗に模様や文字の書かれたカーテンがかかり、音楽が始まると背後のロンドンの酒場に照明がつき、情景が浮かび上がります。この幕開けは結構気に入りました。この場面ではスライの登場、熊?の歌、酔いつぶれて寝入ってしまうまでのドミンゴの哀しみを底に沈めたような歌がとても良かったです。                                           2幕のはじめに流されるマンドリンを加えた弦楽器の調べ、エキゾチックで綺麗なメロディが印象的。悪意に満ちたスルタン姿の侯爵の他にも舞台奥のバルコン席にはこの非情なドラマを面白がる観客達が仮面を手にスライの目覚めを待っているのです。人の不幸を喜ぶ人間のおぞましさはテレビのワイドショ-的な感覚かつ現代の世相を反映したもののようです。
3
幕のスライの自殺の場面、流れる血は床にピンクの水玉状の照明で表され、純な詩人の魂のように、夢のなかの血のようにも見え切ない気持ちになりました。グレギーナはフィナーレになって、ようやく彼女らしい激情的な歌を聞かせてくれたのですが。それにしても最盛期はもう過ぎたのだろうか?彼女を初めて聴いたサントッツアは素晴らしかったのに・・・。ドミンゴのほうは貧乏な詩人にあわせてダイエット?少しスマートに見えました。マルタ・ドミンゴの演出は現代にも通じる重い課題を感じさせる手法で、秀逸。スライのような純な人は生きて行けない現代・・・フェッラーリの音楽も最初はつかみどころがないように聞こえましたが、慣れると繊細な叙情を漂わせて感動的でした。指揮のアルミリアートもよくまとめていたと思います。

 あまり一般受けしない演目のせいか、ドミンゴでも満席にならないのに少々驚きながら外へ。暑いので冷房が効きすぎ、カシミアのストールを持ってきてよかった のですが、外も昨夜に比べるとかなり涼しくなりました。

 


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