(3)ニューヨーク [2002春NYオペラと美術の旅]
4/16(火)
気温が徐々に上がってきて、この日は朝9時というのに75F(25度近く)に…4月とは思えない暑さです。部屋のクローゼットを開けて、思わずげんなり、春物中心のワードロープですから着るものがありません。どうしよう~。
この日はメトロポリタン美術館の見学をしました。娘とは行き方で意見が合わず、違う経路で向かいました。私は地下鉄でコロンバスサークルから77丁目に行き、バスに乗り換えてセントラルパークを横断して美術館の横に到着。娘は地下鉄と徒歩で、ほぼ同じ時間に着きました。
☆メトロポリタン美術館(初)北米最大の規模を誇る美術館です。初回は半日ずつ2日間通いましたが、到底見きれるものではありません。体力勝負の美術館は苦手だわ~と云いながら、夜のオペラがなかったら、倒れそうになるまで頑張るのですが・・・。美術館のインフォーメイションには日本人のボランティアの案内係の方もいて、とても親切です。ここでも解説のガイドを勧められましたが、お断りしました。自由に見学したほうが疲れないから。(どこでもそうします)
写真はノーフラッシュで許可されてますが、カメラを向けている人はあまり見当たりません。気が引けて、あまり観る人のいない絵を恐る恐る撮りました。
この時はジェンティレスキ父娘の特別展に遭遇、ラッキーでした。
↓オラツィオ・ジェンティレスキ(父)「マリアとマルタの会話」(ミュンヘン/アルテ・ピナコテーク)
↓ 同じくオラツィオの「聖チェチリアと天使」二つのヴァージョン。上はワシントンDCのナショナルギャラリーから
↓こちらは昨年ペルージャで観たばかりのもの
↓ オラツィオの「エジプトへの逃避途上の休息」1628-28頃 139×217(ウィーン美術史美術館から)
↓この特別展のショップ
↓こちらはアルテミジア・ジェンティレスキ(娘)の自画像など。
見逃せないのはカルロ・クリヴェッリ。写真はひどいですが、素晴らしいコレクションに大感激。
↓「聖ドミニコ」1472年の祭壇画の部分 94×27
19世紀末には他の部分とともにローマのある枢機卿が所有していました。その後ロンドンを経て、1905年にメトが購入。対になっている「聖ゲオルギウス」と共に展示されています。 聖ドミニコは12世紀~13世紀に聖ドミニコ修道会を創設。ロザリオによる祈祷を創始、ボローニャで没。黒いマントに白い衣、白い百合が持物。
「聖ゲオルギウス」(1472年の祭壇画の部 95×33 華麗な衣装のゲオルギウスは丹念に描かれています。長槍で王女を襲う龍を退治した英雄の発祥は東方と伝えられています。ギリシア神話のペルセウスの英雄譚を利用したもの。巻き毛の髪、折れた長槍(白と赤の縞模様がヴェニス風)ヴェネツァの守護聖人でもあるので鎧にライオンを多用。あどけなさの残る少年の姿は非現実の、空想ファンタジーの世界。美しい!
↓「Madanna col bambino 」35×23 アンコーナの聖母子とともに珠玉のような小品。個人の注文で描かれたようです。親密な雰囲気を漂わせた美しい聖母、果物や背景に広がる田園の描写も優れています。幼子イエスは鶸を持ち、聖母は左下の蝿を見つめているように見えます。鶸は茨をついばむ鳥、蝿は死を暗示していて、受難の予見。
フェルメールも何点かあります。「窓辺でギターを弾く女」「水差しを持つ女性」「少女の頭部」「信仰の寓意」など。↓「眠る女」1657頃 86.5×76 (絵葉書)
↓カラヴァッジョ「奏楽の少年たち」と「聖家族」
そうそう、この時はほかに特別展「シュルリアリズム」も開催されていました。ダリやマグリットの作品は何点かヨーロッパで観たものもありました。娘はマグリットの「恋人たち」(白い布で顔を覆った恋人たちが接吻)が気に入ってポスターを買い求めました・・・汗。
初訪問のメトロポリタン美術館は広大で、丁寧に回ると軽く1週間くらいはかかりそうです。見学の間にランチは館内のセルフサービスのレストランで。チョイスが悪かったのかこの上なく不味く、空腹なのにほとんど残すありさま・・・。美術館内のレストランやカフェはさまざまですが、今までの経験のワースト3に入ること間違いなし(以後入っていませんので現在は変わったでしょうか)
3時ごろ私は疲れ果ててしまいましたが、娘はまだ元気で回りたいというので、一足先にバスと地下鉄を乗り継いでホテルへ戻り休息。昼過ぎには真夏並みの暑さになったニューヨークは日本でもニュースになったほど。夕方はそれでも少し涼しくなったので、「地球の歩き方」に出ていた韓国料理の店「Hangawiハングワイ」へ、タクシーで行きました。精進料理のコースを堪能しました。チップも含めてひとり40ドル。野菜のスープなどしみじみと淡白な美味しさ。サービスやインテリアも素敵でした。
9時過ぎに食事が終わり、近くのエンパイア・ステートビルへ。2001.9.11のテロからまだ半年しかたっていません。半旗を掲げた建物も多く、NYを代表するランドマークのエンパイア・ステートビルも厳重な荷物検査がありました。
86階にある展望台へ。ここから眺めた9.11テロのあった貿易センタービルの跡地は黒くぽっかり穴の開いた状態でした。一生忘れられない風景です。周りにいた見物客たちも言葉もなく見つめ、犠牲者の冥福を祈るばかりでした。
タクシーでホテルに戻りました。明日も暑ければ持ってきた衣服だけでは間に合いそうもありません。お買い物の時間も予算もは想定外だったのですが・・・涙。