2000年春の旅(4) モンバール~ヴェズレー [2000春ブルゴーニュ・ロマネスクの旅]
4/15(土) Montbard→Vezely
L'Esperance 1泊
モンバールの静かな朝、復活祭まじかの4月とはいえ予想したよりずっと寒く、厚手のコートが欲しいほどでした。
↓ 出発の朝@モンバールのホテルロビー
モンバール駅前からバスに乗り、1時間ほどでアヴァロンに到着。ここから連絡のバスは無く、タクシーでヴェズレーの丘の麓の村サン・ピエールのホテルへ。まだお部屋の用意ができていないのでと、ティールームに案内され、お茶の接待がありました。さすがミッシュランの評価の高い料理宿(2☆)。まもなく案内された2階の部屋は小川の流れる広い庭に面しています。白いこぶしの花が咲き美しい眺めでした。この素敵なプチ・ホテルの滞在はサント・マドレーヌ教会とセットになって良い思い出になりました。
ひと休みの後、ここから教会までは徒歩は無理とのことで、タクシーで5分くらいのヴェズレーへ。
↓ 丘の上の町ヴェズレーを遠望
丁度、昼食の時間でした。見学はゆっくりするつもりなので、はやる心を押えて運転手さんに紹介された坂道のレストランでランチ。素敵なマダムがサービス係で、寒そうにしている私を暖炉のそばのテーブルに案内してくれました。
まぐろのタルタルステーキに付け合わせの野菜がとても美味でした。
レストランから丘を100Mほど登ると教会が見えてきました。目指して歩く私・・・不思議に懐かしい感じがじわじわ湧いてきました。幼いころ、祖母に手をひかれて町はずれのお寺詣りに行っていたことがふいに思い出されました。優しく穏やかな信仰に篤い祖母でした。毎月一度は隣村の農家の叔父の家から檀家の寺のある町の私たちの家に泊りがけで遊びに来るのが習慣でした。祖母が懐かい・・・もう子育ても済んだおばさんなのに、ふいに子供の気持ちに帰ってしまいました。
サント・マリー・マドレーヌ教会 Vezelay
ブルゴーニュ・ロマネスク巡りには欠かせない名刹として知られ、世界遺産にもなっています。サンチャゴ巡礼の「ヴェズレ―の道」の基点として11~12世紀には多くの巡礼者が訪れました。教会の名前になっているマグダラのマリアの遺骨が納められているという伝説があり、教会のナルテックスや身廊を飾る多彩な彫刻の見事な輝きに圧倒されました。
↓ 正面ファサードは19世紀に改修されています。
教会の前は駐車場になっている広場があり、正面右の扉からに入ると、ナルテックスです。
身廊への入り口中央のタンパン彫刻が目に飛び込んできましたた。写真では何度も観ていたのですが、実際に見上げるとキリストの大きく広げた手の大きさに驚きました。それはキリスト教の信者であるかどうかなどの思惑を越えたもの、すべての人々への救いのためにおおらかに広げられた暖かい手に想えました。
↓ 内陣は12世紀に火災で焼失。ゴシック様式に改修されています。
出発前に柱頭彫刻の見取図をNETで見つけ持参したものの100もあるというのですから、途中でギブアップ。ピンボケですが何枚かアップします。
ヴェズレ―で一番気に入ったというか感銘を受けたのは「神秘の粉ひき」(絵葉書↓)
これがいわゆる旧約から新約への変化を象徴的に表した柱頭彫刻です。エミール・マールの「ロマネスクの図像学」によりますと。。。シュジェールは以下の詩句を詠んだ「パウロは挽き臼で小麦からぬかを取り去り、モーセの律法の深遠なる意味をあらわにした。かくも多くの穀粒からぬかの無い真のパンを、われら天使の永遠の糧を作った」
現代に生きる我々の新しい真理とは・・・首が痛くなるほど眺めながら、なぜか不安な気持ちでいっぱいになったことを今でもありありと想い出されます。
あの2000年春の旅で感じた言いようのない不安は不幸にも的中してしまいました。9.11からイラク戦争へと。。。
混沌とした世界に生きる我々と、暗黒とも言われる中世の時代に生きた人々の想いは変わらないように思えるのです。
この時代の人々の新しい真理を希求する気持ちが切ないほどに伝わるロマネスク美術の傑作です。
↓ 後陣外観
↓南側面
見晴らし台からモルヴァン地方の緑豊かな風景を眺めていましたら、急に雲行きが怪しくなり教会横のカフェに避難。激しい雷雨にTAXIの運転手さんが心配して早めに迎えに来てくれました。
夕食はホテルのレストランで。ひとりなのでマダムがいろいろ気を使ってくれて、感じの良いサービスはさすがでした。グラスワインでも丁寧に説明(あの~聞き取れませんの 笑)してくれるソムリエ。お料理はアラカルトで牛の骨髄のキャビアづめなるものをいただきました。これぞ!本場でしかいただけないフレンチ・・・ですよね~。デザートのチョコレートケーキも小さいとはいえたっぷり4人前くらいのホールまるごとででてきたのにびっくり!部屋代は普通でしたが、夕食は部屋代より高いということに・・・いつもは3★ホテルを使っていますが、たまには清水の舞台から飛び下りて優雅なマダムの気分にひたりました。お腹いっぱいで動くのもようやくでしたが、階段登ったら部屋ですからバタリとベットに倒れました。夜中に目覚めお風呂に入って就寝。
↓優雅なバスルーム/絵が飾ってあるのは珍しいです。
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