SSブログ

2001年夏の旅(4)フィレンツェ~シエナ [2001夏イタリア美術とオペラの旅]

7/30(月) フィレンツェ(SITA BT)10:10→シエナBT11:40

シエナ/ペンショーネ・パラッツォ・ラヴィッツァ 1泊

 ここミネルヴァHは朝食も充実してて、感じの良いレセプション、場所も駅に近く、列車で行ったり来たりするので、なにかと便利でした。トランクをホテルに預け、歩いてすぐのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅の傍のSITAのバスターミナルへ。ここから1時間半でシエナのバスターミナルに到着。TAXI乗り場の表示が分かりにくく、ようやく隣の広場にある乗り場を見つけたのですが、なかなかやってきません。一緒に並んだ若い女性が方向が同じだから一緒に乗りましょうといってくれて助かりました。TAXIが少ない意味が分かりました。とにかく狭い道に観光客があふれ歩いたほうが早いくらいのスピードでしか走れないのです。10年ぶりのシエナをとろとろ走ってホテルに到着。ホテルは市内のど真ん中ではありませんが、徒歩で充分観光ができる位置にあり、なによりもお洒落なプチホテルでとても気に入りました。

↓ ホテル(PENSIONE PALAZZO RAVIZZA)のなにげない玄関

DSCF0140.JPG

↓ でも中は素敵!

DSCF0130.JPG

 まだチェックインの時間には早かったので、荷物を置いて早速シエナ観光へ。懐かしのカンポ広場に面したレストランでランチにしました。ゴルゴンゾーラのラビオリと白ワインと水を注文したのですが、さほど混んでもいないのにサービスが遅くていらいら。でもパスタは超美味しかったので・・・許す。

 ☆シエナ市立美術館(2)

 初めてここへ来た10年前は無知でシエナ派も知らなかったので、再訪を計画しました。今回は独りなので、じっくり鑑賞できて、幸せな想いでいっぱいでした。シモーネ・マルティーニとロレンツエッティは本当に素晴らしい。シエナで観るから余計にそう感じるのかも。。。「世界地図の間」にあるマルティーニの「荘厳の聖母(マエスタ)」「グイドリッチョ・ダ・フォリアーノ」の2点しか憶えていなかったのですが、一人旅で再訪して気がつきました。ツアーで来たときははあの奥の部屋まで入らなかったのか?まったく覚えていませんでした。この部屋に観たことのない絵画が沢山並んでいたのです。ようやくシモーネ・マルティーニ以外のシエナ派をここで堪能することができました。特にロレンツェッティ兄弟の絵画は今まであまり注目していなかったので、ここで見直した感がありました。弟アンブロージョの傑作「善政と悪政の寓意、都市と田園でのその結果」は当時のシエナ市民の活き活きした生活や自分達の都市チッタに対する高い意識が知的に表現され、見事です。この後訪れたシエナ国立美術館や翌日バスで行ったアレッツオのピエーヴェ教会の祭壇画などにも展示されている、兄のピエトロの作品も含めて、まとめて鑑賞できる機会に恵まれました。

↓ アンブロージョ・ロレンツェッティ「善政と悪政の寓意/都市と田園でのその結果」フレスコ画(1330~40)

1200px-Ambrogio_Lorenzetti_Allegory_of_Good_Govt.jpg

 それにしても猛暑の中、夏休みだからでしょうかフィレンツェにも負けない大勢の観光客でした。汗だくになって大聖堂へ。

☆シエナのドゥオーモ(2)

 夏の青空をバックに13世紀の壮麗なゴシック大聖堂。

DSCF0134.JPG

↓右に少ししか写ってませんが、白と黒の大理石の縞模様が印象的な鐘塔(ロマネスク様式)も素晴らしい。

DSCF0138.JPG

DSCF0135.JPG

 内部は舗床のモザイク装飾が以前は一部ロープを張って修理中でしたが、すっかり完成していて、見事な空間が広がっていました。大理石の説教壇(ニコラ・ピサーノ)など見学の後は左側廊からピッコローミニ図書館へ。ルネッサンス様式の小建築はピントリッキョの壁画で飾られ、中央には3美神の彫刻(ヘレニズムがオリジナルでローマ時代に模刻)、ガラスケースに納められた聖歌集も必見です。

↓ シエナのドゥオーモ近く

DSCF0137.JPG

↓キージ・サラチーニ館?

DSCF0133.JPG

DSCF0132.JPG

↓ シエナの通り

DSCF0152.JPG

 疲れたので見る予定だった国立絵画館は明日に回し、ホテルに戻りました。

 ↓ホテルの部屋は質素ですが、裏の庭側に面した眺めの良い部屋。トスカーナの景色が広がって・・・。

DSCF0127.JPG

DSCF0142.JPG

DSCF0141.JPG

↓ 裏庭は広く、朝夕ここで食事しました。

DSCF0131.JPG

 ディナーの時はイギリスからの大学生のグループもいて、華やかな中にカジュアルな雰囲気もあり良いムードでした。部屋代は2食付きで、270.000リラ。前菜が海老とアスパラのリゾット、メインがホットビーフのカルパッチョ、デザートはレモンムースの果実添え、ワイン(白のハーフボトル)エスプレッソ、水もすべて含まれていたのでリーズナブルだったと思います。夜、若い人たちが騒いだら、困るなと思ったのですが、ほとんど人の声などもなく、静かなシエナの夜でした。

 翌朝もロビーで見かけたイギリスの大学生たちは美術史が研究目的の旅のようでした。聴くともなしに聞いていましたら女子学生が優秀で、男子のリーダーの話すイタリア語の誤りを直したり、レポートを訂正したりで・・・頑張ってました(笑)。



     


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:旅行

2001年夏の旅(3)フィレンツェ [2001夏イタリア美術とオペラの旅]

7/29(日)

 今朝の朝食室には日本人のグループが8人ほど見えましたが、かなり混んでいるのに皆で同じテーブルに座りたいと我儘いって、他のお客さんは呆れ顔。このホテルは個人客が多く、静かに食事する雰囲気でしたから・・・。フィレンツェの3泊目は違うホテルに泊まりました。詳しいことは覚えてないのですが、このホテル・ブルネレスキを1泊キャンセルしたのは、マルケ地方など廻って戻った時が満室でとれなかったからです。幸いサンタ・マリア・ノヴェッラ広場に面したホテルがとれましたので、チェックアウトして宿替えしました。

 本日の美術行脚はまず念願のパルジェッロ美術館へと張り切って向かったのですが、ガーン!第5日曜日は休館でした。この日も暑くって、ぎらぎら太陽に眩暈しそうになりながら歩き、サンタ・クローチェ教会へ。ここも10年ぶりですが、ツアーだったので、ここの付属美術館を観ていなかったので再訪しました。

↓ 途中の教会のリュネットにロッピア?のテラコッタ。

DSCF0112.JPG

DSCF0111.JPG

☆サンタ・クローチェ教会&付属美術館

 まずは教会に入り10年前に大層感動したジョットの壁画のあるバルディ礼拝堂、ガッディの「聖母の生涯」の壁画が素晴らしいバロンチェリ礼拝堂、ドナッテロの農夫のような無骨なキリスト磔刑像を見学。隣接の回廊から付属美術館へ。ブルネレスキ設計の美しいバッツィ家礼拝堂や2層の回廊をカメラにおさめましたが、太陽光が強くてハレーションを起こしてます。

DSCF0122.JPG

DSCF0119.JPG

DSCF0121.JPG

 付属の美術館にはガッティの傑作が並んでいますが、アルノ川の氾濫(1966.11)ではここの美術品も大きなダメージを受け、その後修復したのですが、でもまだ剥落の残る大きな十字架形板絵が掲げられていました。多分あれがチマブーエの作品だったと思います。写真はOKだったのか忘れましたが、その痛々しさにカメラを向ける気にはなれませんでした。

ここからアルノ川沿いを歩きヴェッキオ橋を渡り、サンタ・フェリチタ教会へ。実は昨夕も散策がてらここまで来たのですが、丁度閉める時間で入れなかったのです。

☆サンタ・フェリチタ教会

「十字架降下」313×192
ヴァザーリの回廊がこの教会にも通じています。中に入ってすぐ右がポントルモ(16世紀、初期マニエリスムの画家)のフレスコ画や板絵で飾られたカッポ-ニ家礼拝堂です。
小さな机に絵葉書を並べて売っているおばさんが、絵葉書を買うと無言で裏にまわって照明をつけてくれました。電気がついた瞬間、柵にはりついていた他の人からも「おーっ!!」と感嘆の声。非現実な色彩の妖しげな魅力に眼を奪われました。キリストを背にした青年のピンクのボディに注目。手持ちの画集の解説によると、イエスを抱える二人は羽根は描かれていないけれど天使とのこと。

2001.7-9.jpeg

↓ 「受胎告知」の聖母。空中を漂っている浮遊感。非現実的色彩とともに合理的な空間の放棄がポントルモの画風。

2001.7-10.jpeg

 次は徒歩10分くらいのサンタ・マリア・カルミネ教会へ。以前来たときはお目当てのブランカッチ礼拝堂が修復中でしたので、再訪しました。夏休みの時期ですから少し行列していましたが、あまり待たずに入れました。

 ☆サンタ・マリア・カルミネ教会

 教会としての説明は省きますが、この教会内のブランカッチ礼拝堂には15世紀フィレンツェの画家マザッチョの代表作「聖ペテロの生涯」の連作があります。初めて画集でこの連作のなかの「楽園追放」を見たときの驚きと感動は今でも忘れられません。宗教画を越えた人間描写のリアリズムはこのあとのフィレンツェ・ルネッサンスに大きな影響を与えました。フィレンツェに来て「名画のある聖堂」のサンタ・マリア・カルミネ教会を訪れることは私には必須だったのです。教会の裏手から入りました。カメラ禁止、時間制限あり。

↓「楽園追放」1425-27(208×88)

Masaccio-TheExpulsionOfAdamAndEveFromEden-Restoration.jpg

 「聖ペテロの生涯」の連作は6点ありますが、マザッチョは28歳で夭折したため6番目の「テフォルスの王子の蘇生と法座の聖ペテロ」の未完成の部分は約50年後にフィッリピーノ・リッピによって完成されました。

 カッライア橋の袂のレストランDanteで、ビールとピザのランチの後は2:30に函館からツアーで来ていた姉夫婦と待ち合わせ、夕食まで一緒に観光しました。この2001年当時、義兄はすでに70歳を過ぎていましたから、この暑さで大丈夫かと心配でしたが、意外に元気でした。ラファエッロが大好きでツアーで案内されなかったピッティ宮殿に行きたいというので、再訪。

↓ 途中のポンテ・ヴェッキオから

DSCF0125.JPG

☆ピッティ宮殿パラティーナ美術館(2)

 ここのラファエッロは傑作揃いです。「大公の聖母」、「天蓋の聖母」「子椅子の聖母」などに、姉夫婦も大喜びでした。イタリア語を習いたてでしたが、「ドーヴェ○○?」くらいは言えたので、鼻高々(笑)前回初めてピッティを訪れた時(1998)に念入りに見たので、今回は姉たちにお付き合い程度の鑑賞でした。

 ピッティ宮殿の裏にあるボーボリ庭園にも行きましたが、階段状なのであまり歩かずに眺めた後はTAXIで丘の上のサンミリアート・アル・モンテ教会へ。写真が残っていないのでNETから拝借。

☆サンミリアート・アル・モンテ教会

 トスカーナ・ロマネスクの代表的な教会。大理石で飾られたファサード。

サンミニアート・アル・モンテ.png

↓ 内部は木組みの天井、壁面の大理石やルネッサンス期のフレスコ画で華やか。

44507209.jpg

↓ 教会前からの眺めも素晴らしい~!

9Nr3Rp7n_b_oM-0.JPG

 待たせたTAXIで街中に戻り、義兄がお米のごはんが食べたいというので、今夜のホテル・ミネルヴァの近くに中華屋があったので、コーンのスープや野菜炒め、餃子などいただきました。旅の前にイタリアに行くという話から偶然フィレンツェで一緒になる日程と分かり、半日でしたが一緒に歩くことができ、良い思い出になりました。姉たちのホテルは郊外なので、タクシーに乗せて見送りました。姉夫婦はこの数年後までは元気で海外旅行を楽しんでいましたが、やはり75歳過ぎたころから億劫になったようです。

 さて、今夜の宿はブルネレスキホテルと同じくらいの部屋代でしたが、バスタブもあって素敵なお部屋!窓からノヴェッラ教会も見えました。広場は夜遅くまで若い人たちがたむろしてうるさかったのですが、ポリスが見回りに来てから静かになりました。

DSCF0079.JPG

DSCF0043.JPG

      

    

       

       

       


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:旅行

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。