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2000年春の旅(6) オータン~ボーヌ [2000春ブルゴーニュ・ロマネスクの旅]

4/17(月)オータン15:42→ボーヌ17:17(列車)

ボーヌ/ル・セップ ホテル2泊

 今日は珍しく朝から晴れました。ホテルの朝食室には行かず、エスぺランス(ヴェズレーの宿)からもらってきたパンにミカン、手持ちのコーンスープで部屋食。チェックアウトして、荷物を預けてオータンの街へ。ホテル近くの銀行でトラベラーズチェックから1000Fを両替。手数料はゼロでした。

↓ オータンの街

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★ロラン美術館 Autun★

1泊したオータンのホテルから徒歩5分くらい。低い丘を登るとサン・ラザール教会が目前に現れ、その手前の左手に古風な館風の美術館が建っています。開館時間の関係でまずここの見学をしました。館内は数えるほどの見物客しかいません。ローマ時代のモザイクなどの展示室から進みますと、

↓以前は教会に飾られていた「聖ラザロの蘇生」の群像彫刻。いったん葬られていたラザロが蘇り、死臭がするので鼻を覆っている人も・・・。このキリストの奇跡の場面で鼻や口を覆う描写は6世紀以降に現れるそうです。ここでも現実的なユーモアが見られます。

 さて、ここの目玉「イヴの誘惑」はいったん中庭に出てから違う棟?に入ります。係員もごく少ないのですが、この展示室だけ別格の厳しい監視でした。もちろん撮影禁止。元はサン・ラザール教会にあったらしいギスレベルトゥスの彫った傑作です。この浮き彫りは写真と実物ではまったくの別物です。実物を観ることの素晴らしさを認識させられました。まさしく口あんぐり状態でした(笑)まず感嘆したのは石の冷たさを感じさせないこと。そして、女のあどけなさとしたたかさの2面性の表現。官能的な誘惑者としてのイヴの姿態は横長という構図にもドンピシャはまっています。



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 ↓「聖母被昇天 または聖マグダラのマリアの昇天」

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↓ サン・ラザール大聖堂の西正面扉口「最後の審判」、リンテルには巡礼者たちの列が刻まれています。

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☆サン・ラザール大聖堂 Cathedrale Saint Lazare(オータン)

 古代ローマ時代にはガリアの首都であったという歴史を持つオータンです。聖堂も5世紀には創建されていましたが、11~12世紀にかけて規模は拡大されました。10世紀から持っていたといわれるマグダラのマリアの兄弟である聖ラザロの遺骨を奉り、巡礼教会として発展しました。

ここの柱頭彫刻は一部ですが取り外したオリジナルを上階の展示室で見ることができます。南側廊のブックショップ横の螺旋階段を上った塔の部屋は、教会の暗い内部とちがい窓も大きく明るいので、細部まで良く見えます。目の高さの鑑賞なので、大きさや石の質感などが実感でき、素晴らしいです。
ヨセフの思案顔(東方三博士の贈り物)や口を開けて笑っているような顔(エジプトへの逃避)が傑作。選ばれたものの恍惚と不安我にあり。現実的な解釈で、マリアの夫としての、キリストの父?としての、戸惑いを表現。ヴェズレーのシンボリックな格調の高いものや悪魔の跳躍するものなどとは別の、人間的な心理描写に親しみを感じました。(カメラ禁止)
    
 

↓ミレニアム・オータンのポスターにもなった「眠る3人のマギと天使」は特に魅力的な図形です。(絵葉書)

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半円形に彫られた布団、一人目を開けて天使のお告げを聞くマギの眼が印象的。じーっと観ていると12世紀に観ていた人々と自分との垣根の無くなるような、時空を超えた不思議な感覚に捕われました。

後陣の屋根はブルゴーニュ地方独特の色瓦をのせて、ロマネスクにしてはちょっと立派すぎる感じ。


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 思っていたより大きい街ですが昼さがりのせいか人影もなくひっそりしていました。教会周辺は古い歴史を感じさせる趣きのある建物も多く、城壁のトンネルを抜け散策しました。白いこぶしの花が満開の、見晴らしのよい坂道を気持ちよく歩きました。前日までの寒さも和らぎ、復活祭まじかの春のポカポカ陽気になってきました。



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散歩の後は再び教会へ戻り、ロマネスクのタンパン彫刻のなかでも異彩を放つ「最後の審判」を名残惜しく見納めました。


ランチは教会前のレストランで、軽い食事のムニュから野菜クレープをチョイス。フランスの野菜は力強さがあり美味しくいただきました。 ホテルに戻って荷物を受け取り、列車でボーヌへ向かいました。(乗り換え2回)

 ボーヌの駅からはTAXIでホテルへ。宿はボーヌの旧市街にあり、観光に便利でした。ボーヌは次女が大学2年のときディジョンに泊まって日帰りした町です。とても気に入ってましたから、ここに2泊してのんびりすることにしたのです。

ホテルに入るとロビーに日本人のツアー客が数人。久しぶりに聴く日本語は関西弁のおばちゃんたち、懐かしいというより悪いけれどうるさい~!

↓ シングルの部屋はやや狭いけれど、トイレがバスルームとは別になっていて使いやすかったです。

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 夕食はホテルのレストランがお休みでしたので、近くのレストランを予約してもらいました。ここは安くて美味しくて大満足。満席で予約がないと入れないようでした。 旅のメモをみますと前菜があさりのラビオリ、メインは帆立貝とアスパラガスのグリル、フロマージュでした。グラスワインを頼んでも銘柄や産地を訊かれるのは、さすがにブルゴーニュ!

   


  


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